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[コメント] ミルク(2008/米)

演技や演出は上質ながら抑制されたもの。主人公を完全無欠のヒーロー、苦悩・葛藤するヒーローとしていないところに好感が持てるし、エンターテイメント性も高い。
agulii

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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伝記映画にありがちな脚本・演出として、主人公の良いところを前面に押し出したり、主人公が大仰に苦悩・葛藤する、というものがある。 作品としての評価は別として「映画だから仕方ないけど、伝記として見ると胡散臭い」と感想を抱きやすい。 が、この映画は抑制された淡々とした描写で、上のような感想は全く抱かない。

主人公の目標はゲイの地位向上、それのみだ。 ゲイの地位向上のためには、主人公が政治家として支持を得るしかない。 だから、支持を集めるために人気が出そうな条例を考えようぜ!とか、デモの自作自演など、考えられる限りの手段で支持を集めようとする。 彼の行動ははっきりいってしまえば、誠意がないし、投票を集めるための人気取りだし、ずるい。 そういう部分を誤魔化さずに描いているところに好感が持てる。 さらに好感が持てるのは、「こんなことは本当はしたくないけど、これも全て目的のためなんだ」といったようなセリフや描写は全くないことだ。 そんなセリフを言う暇もないほど、ゲイの地位向上に全てを捧げているといったかんじなのだ。

良い思ったシーンはオペラを見るところ。 淡々と描写されてきた主人公が見るのが、ものすごくエモーショナルなオペラというのが、対比として純粋に面白い。 その上、オペラ好きの彼は、滅多に感情を発露しなくても、本当はエモーショナルな人間なのかも? ということが示唆され、設定も活きる。

(評価:★4)

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