一番納得がいかないのは、主人公の母の扱い。 悪徳業者にだまされるってシーンははらはらしたけど、結局ストーリー上あんまり関係がない。 たぶん、やりかったのは田舎の老人に襲い掛かる詐欺ってところなのだろうが、中途半端な絡ませ方が無理矢理なかんじで、ぴんとこない。関係ないなら関係ないで、一つの小さなエピソードとして描けばよかったのではないか。

それよりも見せて欲しかったのは灯台での二人の生活。 あそこを詳しくやっても間延びする、という意見もあるかもしれないが、私は二人の逃避行生活のディティールが見たかった。 そこを描いてこそ「二人で暮らす夢を見た」というせりふが生きてくると思うし、主人公の幸せももっと伝わってくるのではないか。

前半の主人公が殺人を犯す理由、二人のそれぞれの生活と出会いのティティールが丁寧に描かれていて、好感を持った身としては、後半はせりふで説明されていることが多く、退屈に感じた。

前半は特に殺される前の少女の描かれ方、主人公の閉塞感のある生活描写が素晴らしく、だからこそ後半の退屈さが残念。