緑役の水原希子さんが、原作のイメージにぴったり。 演技には言いたいこともあるけど、とにかく本当に本の中からそのまま出てきたような気分。 あの容姿で笑顔を見せるだけで、ミステリアスというかエキセントリックというか… それでありながら生き生きとしていて魅力的な少女を演じていたと思う。

原作では、直子と緑が対として描かれていた。 原作のままやれ、というわけではないが、映画の内容的に、やはり二人は対というか、少なくとも同じくらいの魅力、エキセントリックさがなければいけなかったと思う。 （直子と山手線まわりを歩く、緑の家の中の歩き回るなど、明らかに対にしたいと意識した演出もある） そう考えると、直子の魅力が弱かった。がんばっていると思う部分もあったけど（療養所で最初に寝ている主人公に迫るシーンはよかった）もう少しエキセントリックさが欲しかった。 これは役者の演技力というよりは、演出の問題にように感じる。 女性二人には『存在の耐えられない軽さ』くらいのバランスが欲しかった

ストーリーに関してはラストまわりが上手くいっていない。 緑との関係が原作より、ポジティブなものなっているせいで、ラストのせりふの意味がまったくわからなくなっている。

主人公が「勃起しているね」と言ったときは、ちょっと吹いてしまいましたが…。