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[コメント] 殺人の追憶(2003/韓国)

作品に描かれる連続殺人事件は、当時韓国を飲み込んだ巨大なうねりの一部分でしかない。だから解決できない。
パグのしっぽ

かつての名探偵たちは「特徴のある事件ほど解決が早い」と繰り返し口にした。しかしそれは、安定した社会の中で起きる猟奇事件についてのことだ。秩序の中で発生したバグは始点と終点がはっきり分かるので、全体像の把握も原因分析も予防対策も可能になるのである。しかし本作品で描かれる猟奇作品は、猟奇的な空気の漂う社会の中で起きた(韓国の方には失礼かもしれないが)。産業構造の変化とそれに伴う価値観の変化、政治不安と世代の交代。混乱の中で生まれた混乱について、常人はそれが何なのかさえも知ることができない。ただやみくもに足を使い続けるしかない。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)緑雨[*]

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