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[コメント] ALWAYS 続・三丁目の夕日(2007/日)

続編でありながら、完結編。映像を作るとはこういう事。今のほうが絶対にいい時代なのに、あの時代がよく見えるわけを考えさせられる。
paburo57

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







続編でありながら完結編。 作られた映像というものの使い方はこうでなくてはいけない。 昭和30年代の日本。 戦後復興から、もう少しで「もはや戦後ではない」といわれる狭間。 一生懸命働いて、テレビを洗濯機を冷蔵庫を持つことが幸せと感じられた時代。 神社のお祭りには、色々な大道芸人がやってきた時代。 傷痍軍人が道端に土下座してお恵みをいただいていた時代。 隣近所が集まって正月の餅つきをした時代。 風邪引いて熱を出して寝ているときに「桃の缶詰」を食べた時代。 鶏肉が豚肉よりも高級な時代。 肉が魚よりも高級な時代。 ソーセージといえば魚肉ソーセージしか知らなかった時代。 お菓子が、計り売りしていた時代。 農家の叔母ちゃんが、卵を籠に入れて売りに来た時代。 お風呂といえば銭湯。 銭湯で飲む牛乳。 銭湯帰りに食べるラーメン。 それらは、小汚く、煩わしく、面倒くさく、騒々しく、残酷で、貧しく不自由な時代。

茶川は芥川賞を目指して執筆。 その小説に自分の人生をかける。 それを支える3丁目の人々。 この時代の負の部部よりもせいの部分をきれいに強調して描ききった映画。 だれもこの映画から、この時代の負の部部を見たいとも思わないだろう。 わかって、騙されに来ているのだ。 しかし、正の部分は非常によく作りこまれた映画である。 最後はご期待通りにハッピーエンド。 ああ、よかった感動した。 東京タワーから見る夕日は、明日はまたいい事があるぞ! という希望の夕日。 夕日は何も変わらないのに、現代の夕日はどう映るのだろう。 どうも希望の夕日には映り難い。 しかし、考えてみると、今のほうが物質的には明らかに豊か。 では何が違うのか。 それは心のあり方なのだ時が付く。 どこか閉塞感があり、不安感があり、不満があるのは みんな心のあり方なのだろう。 政治の世界が汚いのは今から始まったことではない。 清濁併せ持ち、共生していた時代のたくましい精神が健在だった時代。 でも、それさえも、一人一人の心のあり方から見れば どうにでもなるのだろう。 今も変わらず夕日は美しい。 それは見る人の心一つなのだ。

それにしても、冒頭のゴジラのシーンは まさに初代ゴジラそのもの。 初代ゴジラの映画は私が最もおそろしく怖いゴジラだった。 そして何より傑作だった。 ここに監督の心意気を感じる。

(評価:★4)

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