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[コメント] ラスベガスをぶっつぶせ(2008/米)

チームに魅力がないから、ゲームにスリルがない。『ハスラー2』のような師弟関係のドラマでもない。欲望と危険の伴わない賭け事と、ヲタクとコドモしかいないMITの学生では、どう逆立ちしても映画的な色気が出てこない。
shiono

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







オープニングクレジットのMTV風の格好よさ、優秀だが金に困窮するジム・スタージェスと、いかにもそれっぽくタイプキャストされた教授ケビン・スペイシーというでだしは悪くなかった。しかしその後の展開には、ことごとく掛け金を失っていく空しさに囚われることになってしまった。

何しろ学生が皆幼すぎる。なぜこのゲームに乗る気になったのか、何を考えているのかがさっぱり見えてこない。だから成功したら豪遊、つまらないことで自暴自棄という筋立てしか導き出せない。チームを学生だけで構成しなかったデメリットがここに出てくる。メンバーは、どこまでいってもオーナー監督スペイシーのチルドレンでしかないのだ。

スタージェスが制御不能になる理由はバカらしいが(ここでイロを使えよ!)、チームが破綻する後半は多少は持ち直す気配を見せる。時代に取り残されつつあるローレンス・フィッシュバーンのキャラはいいが、スペイシーの制裁は伝説的な策士の気高さを感じさせない陳腐なものだ。

終盤はコンゲームの様相もあるが、お子様スタージェスはやっぱりここでも言いなりであった。当世的な軟弱キャラが主人公でも、120分も尺を使うならもっと骨太のストーリーにしてほしかった。25年前のスペイシーとフィッシュバーンの対決ドラマのほうが見たかった、と観客に思わせてしまってはダメだろう。

余談:imdb作品ページの"FAQ"を読むと、この映画の原作小説の「MITブラックジャックチーム」が魅力的に思えてくる。ちなみに序盤でスペイシーが出題する三つの扉問題は、ウィキペディアで「モンティ・ホール問題」で検索すると出てくる。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)もがみがわ jollyjoker プロキオン14

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