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[コメント] シャネル&ストラヴィンスキー(2009/仏)

シャネルの自立した力強い女性像に好感を持つと同時に,強がりな態度,嫉妬,女性としてのプライドといった人間味に溢れている部分も愛らしく思えた。お互い,プロフェッショナル同士であるからこそ,生みの苦しみと喜びを分かち合えるのだろう。
uswing

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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不倫している妻と一緒に生活して食卓を囲む太い神経や,妻に侮辱された時に毅然と(!?)した態度を取るところ等が,どうなんだろうと思いつつ,痛快でもある。

夫を寝取られるのは気の毒だが,シャネルが魅力的だから盗られても仕方ないだろう。浮気される方にも原因がある。陰気だし眉がないせいか,終始,妻が怖かった。

妻に対する嫉妬は全面には押し出されていないが,当然の前提だろうし,煮え切らないストラヴィンスキーに「愛人ではない」と拒絶するところもいい。きっと抱きしめられたいのに,自分だけに対する愛情がこもっていないから拒絶するところも,理性的な人間らしいと思う。プライドが,動物的な感情を押さえているのだろうけど。また,「芸術家ではなく,洋服屋」と言われたことを許せないことも,職業人としての当然のプライド故だろう。

着飾ったシャネルも十分美しかったが,浴槽につかるストラヴィンスキーの額にキスをする時の彼女の横顔が美しかった。

同じ浴室でのシーンで,気まずいまま,特に会話も交わさないのに,フッと笑い合う二人もいい。大人の和解の仕方をよく表している。

最後のシーンで,見つめ合う二人の視線も心地よい。何かを成し遂げているプロフェッショナルだからこそ,理解し合えるのだろうと思う。

(評価:★4)

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