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3819695さんのコメント: 更新順

★3未来は今(1994/英=独=米)面白くない。演出はことごとく空回り、いかにも喜劇にふさわしいティム・ロビンスのキャラクタが却って笑いを阻害する。エレヴェータ・ボーイのジム・トゥルー・フロストの演技設計も失敗じゃないか。美術も平凡の域を出ない。ジェニファー・ジェイソン・リーの頑張りが映画を救っている。[投票]
★4ゲッタウェイ(1972/米)面白いシーンばっかり。ゴミまみれになるスティーヴ・マックィーンアリ・マッグロー。スペアリブを投げるアル・レッティエリ。子供や動物の使い方(犬がバイク乗ってる!)も冴えている。そして何よりマックィーン&マッグローのニュアンスに富んだ関係性とアクションの連動ぶり。夫婦活劇の決定版。[投票(1)]
★4バートン・フィンク(1991/米)ニューヨーク演劇界の寵児を演じるのがジョン・タトゥーロであるというのがまず大いに舐めているし、ジョン・グッドマンの「I'll show you the life of the mind!!」という絶叫も意味不明でよい。「不快」の映画として立派に成立していると思う。 [review][投票(2)]
★4LOFT ロフト(2005/日)自律的な瞬間のみで成立したフィルム。「映画」とは人間なんぞが用いうる尺度では到底捉えきれない怪物的な何かであり、人間が「映画」を飼い馴らすことなどできないということを黒沢清LOFT』は「分かりやすく」諭している。 [review][投票(2)]
★4ミラーズ・クロッシング(1990/米)美術デニス・ガスナーと衣装リチャード・ホーナングの堅実な仕事によって大真面目なギャング映画のフォルムを保つ一方で、物語の推進力としてはジョン・タトゥーロのキャラクタを採用するあたりが現代的でありコーエン的なのだろう。ガブリエル・バーンアルバート・フィニーの微妙かつ絶妙に紋切型を回避した造型もよい。[投票(4)]
★3この道は母へとつづく(2005/露)梗概が予期させるような重苦しさはなく、真っ当な娯楽映画の結構。少年は己の知恵と他人の親切で二人組の追跡をかわし、ひたすら母のもとへ歩を進める。 [review][投票(1)]
★4赤ちゃん泥棒(1987/米)力強く計算高い演出。創意に富んだ撮影。やや才に走りすぎている感はあるものの、コーエン兄弟の狙いは悉く成功している。 [review][投票]
★3インソムニア(2002/米)人間の罪悪を炙り出す白夜の土地という舞台設定。ロビン・ウィリアムスヒラリー・スワンクアル・パチーノの二面性に対応する象徴的なキャラクタ配置。物語としての完成度は高いが、鈍重な緊張感を目指すべき映画にしては安易にカットを割りすぎているなど演出は凡庸。霧や川を流れる材木といった幾つかのイメージは優れている。[投票]
★4孔雀 我が家の風景(2005/中国)クー・チャンウェイは演出家としてもなかなか優れているようだ。引きの画で事の推移を見つめる方法論が成功しているのは、単に撮影が美しいからだけではなく、画面内に映らないものを意識させる演出が施されているからだろう。それはたとえばフィックスと移動撮影の使い分けによって。たとえば遮蔽物の利用によって。 [review][投票]
★4サムライ(1967/仏)風景を冷たく錆びた青で染め尽くすメルヴィルの態度は偏執的ですらあり、特にアラン・ドロンの部屋の内装美術なんてやりすぎだと思うのだが、それはこの美学過剰の作品世界を形成するにあたっての必要条件でもあろう。瞬間的な暴力の描写の冴えはやはり目を見張るものがある。 [review][投票]
★4侍(1965/日)雪に始まり雪に終わる映画。のちの『斬る』ほどではないにしても、ここでも和傘の使い方が印象的。三船敏郎の粗野な明朗さは徐々に伊藤雄之助の不気味さに呑み込まれ、映画の不穏な空気は決定的なものとなる。 [review][投票(3)]
★4乱れ雲(1967/日)成瀬らしい視線の、雨の、歌の、そして乗り物の映画。 [review][投票(3)]
★5天国の門(1981/米)二一九分版。水面・雲・煙・炎といった定まった形を持たないものをどう撮るかに撮影者と監督の力量は端的にあらわれる。そのようなわけで、パラノイアックでさえある画面の完成度の高さは云わずもがなであるのだが、音響演出も一級品だ。 [review][投票(1)]
★5女の中にいる他人(1966/日)これだけ綺麗だと殺されるのもむべなるかなって感じだよね、なんとなく。などと論理不明瞭かつ無責任きわまりない言葉を呟かせてしまう若林映子の美貌はむろんこの映画にとって瑣末な細部でしかなく、真に見るべきは過剰演出家としての成瀬の姿だろう。 [review][投票(1)]
★4南の島に雪が降る(1961/日)敵機が迫っているにもかかわらずファーストシーンから何やらほのぼのしたムードが流れているなあと思っていると、演芸分隊オーディションのシーン辺りから加速度的に戦場がユートピア化してゆく。この幸福な時間の流れは心を打つ。 [review][投票(1)]
★5乱れる(1964/日)実は「列車」の映画作家でもあった成瀬巳喜男が、晩年になってその本性を剥き出しにした超絶傑作。最高の列車シーン。そしてそのシーンを境に映画は異次元の局面に突入する。そこで私たちが目撃するのは、「映画」が人間を蹂躙し、世界を支配する瞬間だ。「映画」とはかくも人智を超えたものなのか。[投票(3)]
★3タロットカード殺人事件(2006/英=米)「アレン映画」としてはじゅうぶん佳作だろう。ウディ・アレンに映画的興奮を期待する者などいないのだから。話の運び自体は相当いいかげんだが、それを欠点とさせない語り口の達者さがアレンの長所であり、そのいいかげんさを演出の驚異によって映画の美点に転化するまでには至らないのがアレンの短所だ。いつものごとく。 [review][投票(1)]
★4放浪記(1962/日)この高峰秀子は本当にむかつく。不細工な上にむかつく。彼女が被る不幸の半分以上は自業自得だとも云いたい。のだけれども、いつの間にかその高峰が愛しくなっているというマジック。『放浪記』と云いながら「放浪記」出版後も描かれることやモノローグの多用も自意識の強いキャラクタの造型に寄与している。[投票]
★3大統領の理髪師(2004/韓国)いわゆる「オフビートな可笑しさ」を醸し出すわけでもないテンポの悪さ、それはソン・ガンホの「間の悪い」キャラクタ性のためではなく、単に演出と編集の責任だろう。さも「これはリアル・ファンタジーですよ」とでも云いたげな画調は可もなく不可もないが、微妙かつ意図不明に揺らされるカメラは気になる。 [review][投票]
★4妻として女として(1961/日)素直に見ればやはり高峰秀子淡島千景の映画ということになるだろうが、高峰と飯田蝶子の絡みも実に面白いし、十朱久雄などもいい味を出している。唄の使い方も興味深い。高峰・飯田のそれはもちろん、序盤の大沢健三郎の唄が終盤で反復されること。その痛ましさ。 [review][投票(2)]