3819695さんのコメント: 点数順
グラン・トリノ(2008/米) | これは『ラスト・シューティスト』ではないのだ。かつてジョン・ウェインがロン・ハワードにそうしたように、イーストウッドは少年に「銃の撃ち方」を教えることをしない。彼が教えてみせるのは「恋愛の始め方」であり「男の話し方」に過ぎない。『グラン・トリノ』は世界一感動的な「教育」の映画だ。 [review] | [投票(27)] | |
WALL・E ウォーリー(2008/米) | 「目」と「手」の映画。無生物を擬人化する(人格を与える)技術に関してはこれがひとつの到達点ではないか。単なる空飛ぶ円盤にしゃあしゃあと人格を付与してみせた『ニューヨーク東8番街の奇跡』ほどの画期性はないにしても。活劇的興奮が最大級ではないとは云え、このイメージ群に抗うことは難しい。 [review] | [投票(23)] | |
レスラー(2008/米=仏) | 美しい映画。美しいダンスシーン。ミッキー・ロークがマリサ・トメイの前ではしゃいで見せるバーでのダンス。ロークとエヴァン・レイチェル・ウッドの廃ホールでのダンス。ロークはこの一作で自身のキャリアをすべて正当化してみせた。栄華も零落もすべては『レスラー』に至るための道だったのだと。 [review] | [投票(16)] | |
ダークナイト(2008/米) | まったく見所を持っていないではないにせよアルチザンともアーティストとも云いがたい平凡な二流監督、などとノーランを侮っていたのは私ひとりではあるまいが、ここはもう率直かつ地に頭をこすりつけて謝りたい。ほんとごめんなさい。完全に打ちのめされた。まったく驚異的な画面造型力であり話術だ。 [review] | [投票(16)] | |
イングロリアス・バスターズ(2009/米=独) | 『デス・プルーフ』のような「奇跡」の映画ではない。だからこそ感動的だ。タランティーノは自前の演出力のみでこれを傑作たらしめた。この「バスターズ」という集団をして「ダーティ・ダズン」を目指さないことの聡明さ。ブラッド・ピットを除くバスターズの「顔面」のつまらなさときたら! [review] | [投票(15)] | |
96時間(2008/仏) | 二十一世紀の『ドラブル』。アクション演出にドン・シーゲル級の(=史上最高水準の)明晰さを求めさえしなければ、これを傑作と呼ぶにも吝かではない。まずは一〇〇分にも満たぬ上映時間の短さがこの映画のすばらしさを示している。それなりの規模で撮られた/公開される現代映画としては稀有の簡潔さ・速さ。 [review] | [投票(14)] | |
チェンジリング(2008/米) | 見るたびごとに感動が増す。トム・スターンの最高作であるのみならず、少なくとも二十一世紀最大の傑作。一点の迷いもない演出が複雑怪奇な物語を持った映画に澄み切った相貌を与えている。ヘンリー・バムステッドの不在を乗り越えて切り拓かれた映画の新地平。これこそが「映画」だ。「映画」とは『チェンジリング』だ。 [review] | [投票(14)] | |
トイ・ストーリー3(2010/米) | 映画とキャラクタを真に愛する者たちの手による創造物。本当に、本当に驚異的な活劇だ。脱獄シーン以降はずっと涙が止まらなかった。なんと緻密で美しいチームワークの活劇だろうか。人格を持った「キャラクタ」であると同時に「小道具」であるという玩具的可能性の全てを賭けて、彼らは「家に帰る」。 [review] | [投票(13)] | |
インビクタス 負けざる者たち(2009/米) | イーストウッドほど「暴力」の映画を撮り/演じ続けた人間は存在しない。その彼が示す「暴力」「復讐」の先のヴィジョン。暴力をめぐる彼の映画的思考はおそらく人類史上最高の深度・強度に達している。あけすけに希望を謳ってみせるこの映画の真実味はあくまでも(実話であることではなく)そこに由来する。 [review] | [投票(10)] | |
エグザイル 絆(2006/香港) | ジョニー・トーの西部劇。ごく大雑把に云って、これはペキンパーからマカロニを経由して香港で畸形的な発達を果たした銃撃演出の究極だろう。だから、この道に未来はない。この種の志向でこれ以上の銃撃戦を創出することはおそらくできない。ひとつの終わり。ジョニー・トーがひとつの歴史を終わらせたのだ。 [review] | [投票(10)] | |
晩春(1949/日) | 原節子=紀子という突出したキャラクタの分裂性、あるいは怪物性。 [review] | [投票(10)] | |
グエムル 漢江の怪物(2006/韓国) | どれほど無茶な行動であれ目的成就に資すると直感したならば、彼/彼女は一片の逡巡もなしにそれに及ぶ。ソン・ガンホ、パク・ヘイル、ペ・ドゥナはもとより、父ピョン・ヒボン、ポン・ジュノ的「受難の少女」たるコ・アソンまでもが徹底して「英雄」である。英雄的行動、その反射性・瞬間性に感動する。 [review] | [投票(8)] | |
ウエスタン(1969/米=伊) | 誠実さに裏付けられた不遜さというレオーネの特質が最もよく現れた、『続 夕陽のガンマン』と並ぶ最高作。誠実さというのは全シーンをとことんまで面白くしようとする態度のこと。不遜さについては作品を見れば明らかだろう。たとえば、映画が始まって一時間経過してもほとんど物語が進んでいないという「あるまじき」語り方! [review] | [投票(8)] | |
ゾンビ(1978/米=伊) | 核となるのはゾンビ×ショッピングセンターというワンアイデアだが、それに肉付けをしていくアイデアの量が半端ではない膨大さで、これにはもうお手上げするしかない。まさかゾンビにパイ投げとは! [review] | [投票(8)] | |
プレイタイム(1967/仏) | 空前絶後の傑作。これは「世界」についての映画だ。これほど「平等な」映画を私はほかに知らない。史上最も民主主義的な映画ではないだろうか。全ての映画は『プレイタイム』を目指すべきなのかもしれない。 [review] | [投票(8)] | |
浮草(1959/日) | 中村鴈治郎! [review] | [投票(8)] | |
SUPER 8 スーパーエイト(2011/米) | 『SUPER 8』――コダック社が開発した八ミリフィルムの規格名に過ぎないはずのそれが何やら神聖な響きさえ帯びてくる。ジョエル・コートニー、エル・ファニング、ライアン・リー、ライリー・グリフィス、ガブリエル・バッソ、私はあなたたちを一生忘れない。現在考えうる限りで最良のアメリカ映画。 [review] | [投票(7)] | |
マイケル・ジャクソン THIS IS IT(2009/米) | マイケルへの想いを語るパフォーマーたちの笑顔の純粋があまりにも眩しい。「すべてはファンのために」と「すべてはマイケルのために」が等号で結ばれた世界の、幸福。それは、もう、永久に喪われてしまったのか。未曾有のダンス・スペクタクル。“Smooth Criminal”には生涯最大の感動をした。 | [投票(7)] | |
ブラック・サンデー(1977/米) | この充実! フランケンハイマーの繊細な豪腕が物語の無茶に映画感を充実させる。緻密にダイナミックなサスペンス。容赦ない暴力が突きつける無力感と背徳的な陶酔。銃撃戦で、パニック・シーンで、ぶっきらぼうなロングショットが綴るアクションの興奮。格納庫の無数の穴から差し込む光のこの世ならざる美しさ。 [review] | [投票(7)] | |
サンダーボルト(1974/米) | 気の触れたウサギ運転手やハンマーで車を叩くバイク少女など、ただただ楽しくて不可解な挿話や細部が盛り込まれているのがいい。しかし何と云ってもこの切なさは尋常じゃない。かつての「西部劇」のような美しい空の下、プロフェッショナリズムと中高生ノリで貫かれるおっさん達の青春。 [review] | [投票(7)] |