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3819695さんのコメント: 点数順

★3ワンダーウーマン(2017/米)主人公が正しすぎて息苦しい。それを補償すべく「(西欧的)世事の疎さ」が機能するロンドン・シークェンスはひとまず面白い。また、大概は映画に相応しいはずの「光る」投げ縄も、その露骨なディジタル描画感が興を削ぐ。『コール・オブ・ヒーローズ 武勇伝』のラウ・チンワンから鞭使いをまねびたい。 [review][投票(5)]
★3レヴェナント:蘇えりし者(2015/米)エマニュエル・ルベツキだけでは飽き足らず、ジャック・フィスクジャクリーン・ウェストまで登用し、撮影の自然崇拝と「詩的な」回想に励む。テレンス・マリック化症候群が重篤だ。しかし「およしなさい」などと親身な忠言はすまい。私とこの演出家の間には一遍も一片も友情が通ったことはないからだ。 [review][投票(5)]
★3バクマン。(2014/日)編集部との対立は終局的事態に至らず、打倒すべき対象はライバルではあっても悪役ではない。そもそも勝敗はたかが読者アンケートの順位=脚本家の胸三寸で決するという。かくのごとき興ざめた状況の下、二時間前後で完結せざるを得ない劇映画はいかにして「勝利」に作劇的な正当性を与えるべきだろうか。 [review][投票(5)]
★3キングスマン(2015/英)むしろマシュー・ヴォーンは感情のぎりぎりを描ける作家のはずだと期待もしていただけに、この空騒ぎには大いに不興を覚える。格闘場面におけるコレオグラフィと俳優の体さばきは見事と云ってもよいが、シーン総体を視覚的に構想する力は貧弱なものだ。『キル・ビル』青葉屋シークェンスを規範としたい。 [review][投票(5)]
★3イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密(2014/英=米)シックなおしゃれ小箱風「エニグマ」と、多数のシリンダーがぐりぐり回転する容貌魁偉の「クリストファー」の外観的対照は称賛に足る美術・小道具班の仕事だが、欲を云えばクリストファーはもっと面妖に巨大で、部屋を埋め尽くすほどの体積を誇ってほしい。各時代の最先端電子計算機がそうである以上に。 [review][投票(5)]
★3WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜(2014/日)少年はいかにして物語の本題である林業研修に参加することになったか。その契機として、脚本は「入試の落第」「失恋」「パンフレットの発見」を書き込んでいる。抜け作の演出家であれば一〇分間以上を費やしかねないシーンだが、矢口史靖は巻頭のわずか数カット、驚くべき高速度でこれを処理してみせる。 [review][投票(5)]
★3哀しき獣(2010/韓国)「誰ひとり(観客さえも?)状況を正確に把握できなくとも、事態は不可逆に進行しつつある」という世界認識こそが優れてフィルム・ノワール的なのだから、これを「脚本が拙い」の一言のもとに断罪したくはない。極力「拳銃」を排除して「手斧」「包丁」を特集した暴力も作品の人格を端的に徴づけている。 [review][投票(5)]
★3アンチクライスト(2009/デンマーク=独=仏=スウェーデン=伊=ポーランド)笑えるか笑えないかで云ったらそりゃ笑えない時間のほうが長いのだけれども、フォン・トリアーに特有の不謹慎なギャグの感覚はここでも全篇に脈打っている。実際に過去の一時期「イエス・キリスト」を生きた人を『アンチクライスト』なる映画の主演俳優として迎えようというのがそもそも大いに悪ふざけ。 [review][投票(5)]
★3トロン LEGACY(2010/米)3D表現に関して『アバター』と対抗するもうひとつの極を形成しようという気概はある。(どちらも画面に占める実写素材の割合は極めて小さいとは云え)『アバター』がどこまでも自然の風物で構成された世界で飛翔運動を活劇の中心に据える一方、こちらは暗黒と人工光の無機質空間で疾走運動を展開する。 [review][投票(5)]
★3春との旅(2009/日)はじめ激怒しながら登場して厭悪を抱かせるも徐々に可愛げを覗かせて好感に転じさせるが、それは年齢不相応に幼稚な甘えに過ぎなかったことが露見して苛立たせ、しかし最終的にはそれも含めて愛すべき人物であると肯定的に受け容れさせる――仲代達矢の演技設計は少なくとも私には有効だった。 [review][投票(5)]
★3サロゲート(2009/米)ヒトが「ヒトのようなもの」に自己の人格を寄託して遠隔操作する、という着想の扱いにかけては『アバター』よりも遥かに興味深い(もちろん『アバター』にとってこれは中心の主題ではありませんでしたが)。語られているトピックの数が存外に少ないとは云え、これを九〇分未満に収めえた経済感覚をまず評価しよう。 [review][投票(5)]
★3ロスト・ワールド ジュラシックパーク(1997/米)アレン・ダヴィオー的八〇年代スピルバーグ・ルックの延長を求められたに過ぎなかったであろうディーン・カンディの前作よりも、このヤヌス・カミンスキー撮影は「黒」の豊かさにおいて大きく優っている。しかしどうにも軽量級演出。「親子」の主題をジェフ・ゴールドブラム以上に恐竜側で展開させてしまう神経は太い。 [review][投票(5)]
★3SR サイタマノラッパー(2008/日)苦く、痛く、切ない青春映画だ。だが確かに希望も感じさせる。それはとても「映画」にはなりえないような場所と人々で映画を撮ることの困難と誇りに重なるものでもあるだろう。低予算のHD作品であろうと照明はもっとがんばってほしい、などとも思う。しかしこのイックとトムを嫌いになれる観客などいるだろうか! [review][投票(5)]
★3バーン・アフター・リーディング(2008/米=英=仏)キャストのアンサンブルを敢えて直前で成立させないかのような作り。やや精彩を欠くジョージ・クルーニーを除き、皆よい働きをしている。愛すべきブラッド・ピットティルダ・スウィントンの冷たい美貌は今回もストライク・ゾーン。脇のリチャード・ジェンキンスJ・K・シモンズもさすがに達者だ。 [review][投票(5)]
★3レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―(2009/中国)渡河・上陸作戦を描く映画に課されるはずの空間演出を疎かにしたまま「炎」による画面の粉飾のみで乗り切ろうという魂胆が戦争映画としての志の低さをよく物語っているが、待ち構える敵に向かって前進することの困難については『プライベート・ライアン』以降の映画が越えるべき最低限のラインに乗った描写か。 [review][投票(5)]
★3007 慰めの報酬(2008/英)おそらく、よいアクション映画ではないと思う。と歯切れが悪いのは、まるで集中して画面を見られなかったから。この画面の連鎖はどこか観客の集中を奪うように仕組まれている。ダニエル・クレイグのアクションは文字通り体を張ったものだが、編集は敢えてそこから肉体性を剥奪せんとしているかに見える。 [review][投票(5)]
★3トロピック・サンダー 史上最低の作戦(2008/米=独)卑怯な作りではある。ただの拙さや凡庸さまでも「確信的な批評」として受容されうるよう仕組まれている。作劇はキャラクタ重視。キャストは概ね分裂気味の役をよく演じている。主演者やトム・クルーズの他にも新人ジェイ・バルチェル、監督スティーヴ・クーガン、原作者ニック・ノルティあたりの働きも好もしい。 [review][投票(5)]
★3JUNO ジュノ(2007/米)節操のない音楽の使用法については再考すべきだし、サブカルチャー嗜好や小物趣味が小賢しい。演出が淡白なためアクションが画面に定着したシーンが少ない。しかしとても可愛らしいラヴストーリーだ。そう、これは何よりもエレン・ペイジマイケル・セラのラヴストーリーとしていい。 [review][投票(5)]
★3マーズ・アタック!(1996/米)「バカ映画」であるにもかかわらず、あるいは「バカ映画」であるがゆえに、バートンの演出の巧みさが際立つ。もっと馬鹿馬鹿しくてもよいと思う。 [review][投票(5)]
★3デッド・ドント・ダイ(2019/米)出演者のおおよそは把握したつもりで見に行ったが、エスター・バリントまで出ているなんて誰も教えてくれなかったじゃないか! 不覚にも『カーマイン・ストリート・ギター』を見逃した私にとっては本に久々の再会だ。不敵な表情の可愛らしさは『ストレンジャー・ザン・パラダイス』から変わっていない。 [review][投票(4)]