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★5酔っぱらった馬の時間(2000/仏=イラン)途轍もなく面白い。しかし、確かに舞台となった土地の現状が多分に反映されているのであろうこの作品を「娯楽」と云い切ってしまうのはさすがに躊躇われる。それではこれは「芸術」なのだろうか、それとも「現実」なのだろうか。私は「映画」だと云いたい。これはどこまでも純粋で力強い「映画」なのだと。 [review][投票(2)]
★4孤独な場所で(1950/米)夜間シーンの撮影が圧倒的にすばらしいのだが、「ハンフリー・ボガートが脚本家」という絶妙な加減で説得力を欠いた設定自体がまず面白い。いやあ、それにしてもこのボガートは本当に恐ろしい。ロバート・ミッチャム並みに恐ろしい。 [review][投票(2)]
★2プラトーン(1986/米=英)もう何と云ったらよいのか。この際お話やイデオロギーに関してはノー・コメント。それでもやはりこれはダメだ。光を操れていないではないか。「暗さ」を志向するならなおのこと光の操作には厳密さが要求されるのにもかかわらず。 [review][投票(2)]
★5映画に愛をこめて アメリカの夜(1973/仏=伊)「映画」か「人生」か、という二項対立はありえない。トリュフォーにとっては映画が人生であり、人生が映画だから。私にとってもそう。皆さんはどうですか? 私はこれを涙なしに見ることはできません。 [review][投票(2)]
★4シャイアン(1964/米)確かにこれは贖罪の意識を持って撮られた映画なのだろう。そのフォードの誠実さを疑いこそしないが、それがために活劇としての面白さが不徹底なものになってしまったのだろうし、またその贖罪がどこまで「通用」するものなのかも分からない。それでもこれはフォードらしい美しさに溢れた映画だ。 [review][投票(2)]
★3奴らを高く吊るせ!(1968/米)砂が真っ白の荒野であるとか首吊り台の装置ぶりであるとか夜の室内シーンの照明であるとか、重めの題材を扱いながらもハッタリのきいた演出によって娯楽性が拡大されている。ズームアップ/ズームダウンの連発にはもう憤る気も失せるほど脱力するが。 [review][投票(2)]
★3キー・ラーゴ(1948/米)面白い。しかしこれはもっと面白くなってしかるべき映画だろう。カッティングはなんだかぎこちないし、電話演出も気が利いていない。ハンフリー・ボガートに対するエドワード・G・ロビンソンのビンタもぬるい。三倍くらい強烈でもいい。面白くなれるポイントをいくつも取りこぼしている。 [review][投票(2)]
★4Ray レイ(2004/米)光の操り方に癖を持つユニックな色調の画面は紫煙を印象的に浮かび上がらせるなどして、それだけで全篇を見せきってしまうところがある。やはりパヴェル・エデルマンは注目しつづける価値のある撮影者だ。 [review][投票(2)]
★4野性の少年(1970/仏)「教育」はその人間の在り方を根底から変えうる崇高で怖ろしい行為だ。だから誠実なトリュフォーは、トリュフォー的な「愛」でもあるところの「教育」を命懸けのアクションとして撮る。これは野性児という生粋のアクション人間を相手にした命懸けのアクション・メロドラマだ。 [review][投票(2)]
★4スティング(1973/米)ヒルの演出は厳格さを欠くが、タイトルバックの人物紹介・絵を用いた章立て・ワイプやアイリスの多用なども含め、厳格さの欠如ぶりに関しては一貫している。この一貫した緩さこそが多くの観客に愛される所以かもしれない。有効に演出されてはいないものの、ポール・ニューマンの隠れ家に回転木馬があるといった細部も好印象。[投票(2)]
★3上意討ち 拝領妻始末(1967/日)「論理的なるもの」(条理)と「非論理的なるもの」(不条理)との往還に振り回される形で作中人物の行動および物語は繰り広げられる。『切腹』同様その作劇術は見事だが、この映画の命と呼ぶにふさわしいのはむしろその画調だ。 [review][投票(2)]
★3ロープ(1948/米)特に見るべきはジェームズ・スチュアート-ジョン・ドール-ファーリー・グレンジャーの三角関係の描き方と照明へのこだわり(終盤、外のネオンによって室内が赤や緑に明滅する、など)。ヒッチコック作品中でも変態度は高いほうだと思う。 [review][投票(2)]
★4ある結婚の風景(1973/スウェーデン)具体から一般へ。特殊から普遍へ。エルランド・ヨセフソンリヴ・ウルマンという具体的な一組の夫婦を描き詰めることで、人間が結びうる「関係」の本質を目指す。実に的確で見事な演出であり演技だ。だが、だからこそ感動や共感よりも驚きを映画に求める私にはいささか物足りなくもある。 [review][投票(2)]
★4雪国(1957/日)豊田四郎安本淳の見事な仕事。ロングテイクの多用と正確なカッティング・イン・アクションがシーン内の連続性を担保し、緩やかに情感を育む。それにより岸恵子のキャラクタの突飛さも可愛らしさとして十分に正当化されている。川渡りなど幾つかのシーンの美しさはもはや壮絶の域。芸者市原悦子の異様さも忘れがたい。[投票(2)]
★4荒野の決闘(1946/米)冒頭十五分間が予感させる「復讐劇」としての厳しさはない。だが、奇跡的と云うほかない雲と照明。暗闇を切り裂く土砂降りの雨。ヘンリー・フォンダキャシー・ダウンズが踊り出すまでの時間の流れの濃密さ。馬車の速度感。発砲と殴打の所作の簡潔さ。フォードジョセフ・マクドナルドが描出する風景は果てしなく豊かだ。[投票(2)]
★3エンジェル(2007/英=仏=ベルギー)夢のような物語。紋切型は夢に近似する。 [review][投票(2)]
★3アンタッチャブル(1987/米)デ・パルマの頑張りはよく分かる。だが、頑張りだけではこの程度の面白さにしか達しないというのが「映画」の残酷さなのだ。 [review][投票(2)]
★3西部開拓史(1962/米)監督・撮影者にかかわらず、場や中心的な被写体を斜め横から捉えた構図が目立つ。シネラマ用スクリーンで見たわけではないので実感はできないが、これが湾曲した横長スクリーンに適した構図なのだろうか。 [review][投票(2)]
★4引き裂かれたカーテン(1966/米)このジュリー・アンドリュースはどうも好きになれないし、あまりにヒッチコック的すぎて「ヒッチコック的」という形容を超えるものをほとんど持たない作品だが、それでもこれを面白いと云わなかったら嘘になる。 [review][投票(2)]
★4ワイルド・アパッチ(1972/米)これはとても厳しい映画だ。私には厳しすぎたのかもしれない。その厳しさとは残酷描写やドッグ・キャニオンでの凄絶な殺し合いのことでもあるのだが、それ以上に作中人物/観客がニヒリズムに陥ることさえも許さない厳しさのことであり、それは私たちを徹底的に宙吊りにする。 [review][投票(2)]