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[コメント] マンマ・ミーア!(2008/米)

躁映画。しょーもない展開を躁的テンションで押し切るという演出プランは誤りではない。一貫してすばらしい表情を見せるアマンダ・セイフライドも好ましい。しかしこれは映画の「ダンスシーン」を愛する者の仕事ではない。ダイアローグ・シーンを構成するバストショットの繋ぎにも技術の低さが露呈している。ま、泣いたけど。
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メリル・ストリープらの三人組をはじめとしてキャラクタおよびダンスがどうにも下品でいたたまれなくなるが、その下品さが魅力なのですよビバ女性讃歌! と映画は主張しているのだから、その点は趣味の相違に過ぎないと看過してもよい。しかしながら映画のダンスシーンを愛する者がこのようなダンスシーンを撮ってしまえるとは思えない。ダンスとはすなわち肉体の連続的な躍動であるが、どうすればその連続性と躍動性を画面上に定着できるかに、この映画はあまりにも無頓着だ。当たり前のことを云うが、それはカメラ・ポジション/アングル/ワークとカッティングの問題である。たとい監督に技術が不足し、また周囲のスタッフがそれを十全にフォローできなかったとしても、本当にそこで繰り広げられているダンスの魅力を画面連鎖上に再現したいと思っていれば(すなわち、ダンスシーンを愛していれば)、自ずと大きな間違いは犯さなかったはずだろう。

ダンスシーン以外でも撮影にはムラが目立つ。特にセイフライドら三人娘は綺麗に撮られたシーンと醜く(というのはちょっと云い過ぎだけど)撮られたシーンの差が甚だしい。そこには多分にメイキャップの問題も絡んでいるかもしれない。いずれにせよそれは被写体への愛を欠いた態度であり、底抜けの楽しさを得てしかるべきこの映画に後ろ暗い影を落としている。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)緑雨[*] ナム太郎[*] tkcrows[*] 水那岐[*]

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