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[コメント] ワルキューレ(2008/米=独)

面白くなくもない。既知の結末に向かうほかない暗殺ミッション後の物語にあっても、演技演出とシーン転換の呼吸で緊張感の醸成・持続に成功している。また、このような内面を欠いた主人公を成立させることにかけてはトム・クルーズは当代随一だと再々々確認。ずらり並んだおっさん連の顔を味わう映画でもある。
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演出がフックに欠けるという印象は否めない。クルーズの「アイパッチ/義眼」や「喪失した手」が展開に絡んでくるくらいのけれん味があってもよいか。クルーズの障害のせいで作戦は失敗するが、そのような障害を負わなければそもそも作戦自体が生まれていなかった、というような運命論的な無情を描くとか。まあ、そんなことをされたらされたで厭らしいとかさもしいとか品性が下劣ですとか文句を云うのかもしらないけれども。ヒトラー生存の情報が流れだし、イケイケだった作戦司令室が「あ、やっぱダメだったんか……」という空気に支配されていく、この繊細な敗北感の表現は新しいと思う。

 クルーズの細君を演じたカリス・ファン・ハウテンはやっぱり高峰秀子に似ている。ハウテンに散々無茶をさせたポール・ヴァーホーヴェンはすなわち彼女を高峰的に扱ったわけで、実に慧眼であったのだなあ。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (7 人)緑雨[*] けにろん[*] uko243 agulii[*] 死ぬまでシネマ[*] ハム[*] Lostie

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