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[コメント] シェルター(2010/米)

ジョナサン・リース・マイヤーズは複数の人格を演じて物真似の達者ぶりを披露。でもこんなのを出演歴に加えたところで何の出世にも繋がらんよ。と忠告してあげたくなる映画。関節芸など一回で充分の恐怖演出を繰り返してしまう傾向がある。山の魔女(?)登場以降の悪ふざけ感覚も好感を抱くには突き抜け不足。
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黒沢清、とりわけ『CURE』から多大な刺激を受けた映画に見える。たとえば、個体間での人格移動という映画の骨子となる着想。『CURE』においては「人格」と一言で呼べるような単純なものではなかったが、役所広司萩原聖人を「継承」したように、ここではジュリアン・ムーアの娘ブルックリン・プルーがマイヤーズを「継承」する。正確には、どちらもそれを示唆するにとどめて映画を締め括っている、というのも共通している(個体間の人格移動について云えば『多重人格探偵サイコ』というほぼしょうもない漫画も想い起こされますが、さすがにこれの影響ということはないでしょう)。また細部に属するところでは、映像にノイズを走らせて禍々しさを出す演出や、謎の手掛りとして「無声フィルム」を採用するというのも黒沢/『CURE』的だ。しかし演出力には雲泥どころではない差がある。

ペンシルヴェニア・ロケーションらしいが、その風土性と相乗するような恐怖演出もまるで物足りない。山の描き方や牧師をめぐる因縁を盛り込んでいるあたりを見れば、作者もそれをまったく目指していないわけではないようだが。瞳孔の収縮で魂の出入りを表現するところなどちょい面白い箇所もいくつか。

(評価:★3)

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