[コメント] 稲妻(1952/日)
開巻は朗らかに『秀子の車掌さん』(?)と思いきやほどなく予想外の人間性底辺競争に突入して堪らん。演者は皆よいが特に丸山修が最高。却って『流れる』的オールスターではこの味は出ない。場のムードを決定づける斎藤一郎の音楽はときに切ない系終末ホラーのようでやりすぎだが、これもまた面白い。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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稲妻を走らせながら雷鳴は轟かせないという驚愕の演出(ここに限ってはやはり音楽は邪魔か)! 稲妻を契機として高峰秀子と浦辺粂子にはとりあえずの和解が訪れ、そのため結末にはそれなりの清々しさが与えられてはいるのだが、よくよく考えるとこの物語のうちに起きた問題は何ひとつ解決されていない、というのが凄い(まあ成瀬の常套の手口でもあるのだけど)。「ずるずるべったり」は永遠に続き、中北千枝子は「二〇万円」を諦めず、丸山の体には「四十二の鉄砲玉」が埋まったままだろう。
あと、ねこがかわいい。つくりものみたい。
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