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[コメント] ロビン・フッド(2010/米=英)

(1)監督リドリー・スコット (2)主演ラッセル・クロウ (3)上映時間一四〇分 (4)コスチューム・プレイ  以上、つまらない映画が出来上がる条件は出揃っている。ほとんど絶望的な気持ちを抱えたまま見始めたのだけれども、いや、しかし、これは面白い。やっぱり映画って見てみないと分からんものですね。
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**ネタバレ注意**
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冒頭の城攻めからすでにうっすらとその気配は漂っていたが、クライマックスの上陸戦になるともう露骨に『プライベート・ライアン』だ。大量のカットをがちゃがちゃと繋げる編集は弟よりも下手だけれども、放たれた矢の主観ショット(?)のようなサム・ライミ的けれんや、ケイト・ブランシェットが戦闘に参加してしまうという無茶なども含めて、リドリー・スコットにしては上出来のアクション・シーンを積極的に楽しみたい。ただし、このような上陸戦において、主人公を陸地側の守備陣営に置くというのは映画としてちょっと厳しいということにも気づかされる。というのも、これでは上陸を目指す軍が圧倒的に不利に見えて、待ち構える守備陣営は勝って当然じゃんと思えてしまうからだ。『プライベート・ライアン』も『父親たちの星条旗』も『レッドクリフ Part 2』も主人公側が一見して無謀に思える上陸作戦を決行するからスリリングなのではなかったか。じゃあ『硫黄島からの手紙』はどうなんだというと、ここでは新たに「戦力差」というものが焦点化されていて、守備側の日本軍ががぜん劣勢に見えるように仕掛けられている。と云いながらも『ロビン・フッド』の演出家・脚本家を擁護しておくと、この映画にとって実際の戦闘シーンの勝ち負けはもはや二次的な興味でしかないように語られている。要するに、戦闘シーン以前に英軍が一致団結するところが主たる興味であって、それが果たされた時点でもう勝ったも同然という作劇だ。それはそれでよいと思う。

特に中盤で散見される喜劇演出やクロウとブランシェットのロマンス・シーンも思いのほか上手くいっているのではないか。不惑過ぎのおっさんおばはんを捕まえて初々しいロマンスをかましてしまうというのが厚かましくていい。

(評価:★4)

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