コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] しあわせの雨傘(2010/仏)

カトリーヌ・ドヌーヴが赤ジャージー! といった愉快な飛び道具を懐に備えつつ、いかにも七〇年代的な出来事が巧妙にコメディ化して語られる。女性讃歌の月並み加減が却って批評的に働くというあたりもさすが器用貧乏フランソワ・オゾン。おざなりに織り込まれたミュージカルも肩から力が抜けて楽しい。
3819695

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







しかし、いくらこれがドヌーヴ映画であり、その点での満足度は高いとしても、これだけの面子を集めておきながら男性陣の魅力が薄くてよいという法はない。たとえ憎まれ役を演じてもファブリス・ルキーニからはもっとチャーミングな味わいを引き出せるはずだし、ジェラール・ドパルデューはぶくぶくと体積が膨れ上がって水木しげる先生の漫画にでも出てきそうな気色悪い風体だ。唯一ジェレミー・レニエは面白いと思うけれど、中性的な物腰の彼は映画のパレットに男性の色を加えない。

また、飾り壺ドヌーヴが経営者や政治家として活躍する仕方は「隠されていた実務能力が発揮される」ではなく、「ルキーニらから軽んじられていた家事や詩作などの能力が意外な形で役に立つ」としたほうが、作劇上のカタルシスはより大きかったと思う。ただし、それが果たして映画総体としても「よい」かどうかは判断が分かれるだろう。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。