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[コメント] スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団(2010/米=英=カナダ)

志学にしてヴィデオ・ゲームから足を洗った私でもビル・ポープが適切なスタッフィングであったことは理解する。間抜けたニヤケ面が武器のマイケル・セラを筆頭にキーラン・カルキンアナ・ケンドリック(実年齢はセラより上)、マーク・ウェバーエレン・ウォンアリソン・ピルの配役も成功している。
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コミックやヴィデオ・ゲームに起源を求めた種々の演出が映画表現の幅を広げているかと云えば、ほとんどの場合においてそうなってはいない。ただし倒した敵が砂利銭になるというのは、ゲームらしい軽薄な身体表現を実写で試みるといかに陰惨になってしまうかを示していて面白い。黒沢清回路』の「壁のシミ化」や高橋洋恐怖』の「泥化」を思い出す。

セラのバンドはその風貌に似合わぬ思いのほか骨のあるガレージ・サウンドを奏でる(ちょっと「カミナリワン」や「キャプテンギター」の頃のギターウルフのようでさえあります)。劇中で演奏される楽曲のメイン・ソングライターはベックで、音楽監督はナイジェル・ゴドリッチだというのだから、こういう人選にこの映画の抜け目なさと厭らしさが象徴されていると云うこともできる。

アスペクト比は基本的にアメリカン・ヴィスタだが、一部シーン(戦闘シーンのみ? このあたり記憶が定かではありません)はスクリーンの上下に黒味が付加されて疑似シネスコとでも呼ぶべき状態になる。芸は細かいかもしれないが、特に感心もしない。

(評価:★4)

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