アクション映画としてもじゅうぶんに水準以上で、浜辺とその上空で展開される超能力戦には素直に手に汗を握る。シリーズのファンに対するくすぐりをそこかしこに散りばめる手つきも心得たもので、実に愉しそうに悪役を演じるケヴィン・ベーコンもいい。『フットルース』『トレマーズ』『インビジブル』『ミスティック・リバー』に加えてこの『Ｘ-ＭＥＮ：ファースト・ジェネレーション』のセバスチャン・ショウ役というのは実際大した振れ幅だ。

ただしマシュー・ヴォーンには、ひとつのカット内（多くの場合カットの頭）で素早くかつ著しくフォーカスを送ることが格好よいと思う癖は即刻改めてほしい。同じ技法（そもそも「技法」なのか？）はこの映画ほどではないにせよ『キック・アス』や『ＳＵＰＥＲ　８』でも複数回にわたって用いられている。私は『ＳＵＰＥＲ　８』が大好きだけれども、これだけは唯一残念な点だ。意味が分からんというのもあるが、それ以上に、単純に格好よいとも美しいとも私には思えない。