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[コメント] 灼熱の魂(2010/カナダ=仏)

構成にも工夫を凝らして女性の数奇な生涯を語っているけれども、「うん、数奇ですね」と容易に傍観できてしまう。プリプロ段階のお話作りに比重が傾きすぎて、映画は「フィクションの力」を備えるに至っていないのではないか。虚構であることを忘れさせるような、あるいは虚構ゆえの感動を持っていない。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







映画の体躯は見かけの印象以上に痩せている。たとえば、物語のトーンとは距離を置いたなかなか面白みのあるキャラクタの公証人レミー・ジラールが存分に使い込まれていない。「彼に対する興味を抑えきれない」という演出家の視線がほしい。それがたとえ脚本の改変を強いることになってもだ。映画の膨らみとはそこにこそ生まれたはずではないのか。

よいシーンについては、ルブナ・アザバルのバスが武装キリスト教徒集団に襲撃される一連を挙げたい。カメラの寄り/引きといった点も含め、展開の激しさにふさわしく演出の集中力が高まっている。また、双子の姉メリッサ・デゾルモー=プーランさんはとても私好みの顔立ちの女優で、特に予期せぬ話を聞かされたときの反応に窮した表情がいい。これからも機会あらば積極的に支援していきたい。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)ペペロンチーノ[*] MSRkb chokobo ペンクロフ[*] ぽんしゅう[*] シーチキン[*]

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