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[コメント] 汚れなき祈り(2012/ルーマニア=仏=ベルギー)

シチュエーション劇であるのと同等にはキャラクタ劇でもある。齧歯類を可愛らしく漫画化したようなコスミナ・ストラタンとルーマニアの片桐はいりことクリスティナ・フルトゥルの対照造型を非対等な同性愛的/母子的関係で結合した点に物語の動力源が潜む。普遍と特殊の按配をどう評価するかは悩ましい。
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**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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時代性の欠如はむろん演出家の意図したところだ。携帯電話が登場するだけで「あ、やっぱり今のお話なのか」とびっくりしたりするのだが、教会という閉鎖的共同体に「外部」たる救急車や警察が「侵入」するさまは、そのまま地理的侵入であるとともに(中世に対する現代の)時代的侵入であるようにも見えてきて、不条理の感を強める。

ラストカットは多くの観客も「これがラストカットになるはずだ」と了解できるだろう。問題はカットを切り上げるタイミングだが、「あれ、ちょっと引っ張りすぎじゃないかな」と思われた矢先の泥バシャとワイパーで終幕。いささか考え落ちの気配も強いが、格好いい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)けにろん[*]

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