コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 黒いスーツを着た男(2012/仏)

原題「三つの世界」とは当然「加害者」「被害者」「目撃者」のそれを指し、通例のドラマよりも「目撃者」の役割を拡大したあたりが新趣向のつもりだろう。なるほど一遍の長篇映画をでっち上げるに足る着想ではあるかもしれないが、それがために三者の性格造型にいささかの無理が強いられた感は否めない。
3819695

いい大人が深夜の空き地だか造成地だかで馬鹿騒ぎするオープニングシーンが全篇でも白眉だ。以後の展開をあれこれ予測することを許さない不穏さが漂っている。ここで抱かされた期待がじゅうぶんに満たされるシーンは訪れないが、ラファエル・ペルソナーズが金策に四苦八苦するばかりの中盤の展開はしみったれていて好感を持てる。

「目撃者」を演じたクロティルド・エスムキアヌ・リーヴスに女性ホルモンを過剰投与してミック・ジャガー成分を五パーセント混入させたようなアイキャッチングな顔面の持ち主で、アラン・ドロンの再来か何からしいペルソナーズよりも出世の目は大きそうだ。ちなみに自動車工フランク役のレダ・カデブトム・ウェイツの人品を卑しくしたような顔をしている。

(評価:★3)

投票

このコメントを気に入った人達 (0 人)投票はまだありません

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。