[コメント] レッド・ファミリー(2013/韓国)
戯曲の映画化かしら。というのが一見しての素朴な感想だ。たとえば隣家の諍いが工作員一家に筒抜けで聞こえてくる件にしても、舞台演劇のほうが首尾よく描く方法を持っているのではないか。すなわち両家屋の縦断面を並置した装置を設えれば、二家族それぞれの芝居を厳密な同時進行性のもとに呈示できる。
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映画を見終った人むけのレビューです。
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終盤において「海辺」を訪れてもなお、映画ならではの名場面を拵えようという色気すら見せないことにも拍子抜けする。演出家は「場」の効用を理解していないようだ。北朝鮮に残された工作員たちの家族のシーンや、彼らがともに暮らしていた往時を回想するシーンをいっさいインサートしないのは潔いが、全篇にわたる演出態度を鑑みれば、これさえ「戯曲的である」の一言に回収することに妥当性なしとは云い切れない。もっとも、作者は「演技」に収斂する物語そのものでもって過度の演劇性を正当化できると見込んだのかもしれないが。
工作員一家を演じたキム・ユミ、チョン・ウ、ソン・ビョンホ、パク・ソヨンは人相がよい。それがために彼らが情に流されてしまう展開にも納得性があるが、裏を返せば、これも意外性の欠如をもたらしている。よい人相愛好家の私としては前者の見方に味方したい。
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