[コメント] マップ・トゥ・ザ・スターズ(2014/カナダ=米=独=仏)
デヴィッド・クローネンバーグには縁遠そうな題材・撮影地に思えるも、演出家のスタイルは健在だ。一見すると端正・清潔・静謐なショットから薄気味の悪い違和感が滲み出てきて何とも禍々しい。それを最もよく象徴するのはミア・ワシコウスカの火傷跡。ではなく、エヴァン・バードのひょろ長い頸である。
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ハリウッドの内幕を描いた悲劇ではあるが、ハリウッドの住人や稼業の異常性を暴くドラマというより、ハリウッドという「場」そのものに由来する(きわめてフィクショナルで)風土病的なゴースト・ストーリーといった趣きが強い。したがって素朴に云い換えれば、『マップ・トゥ・ザ・スターズ』は『サンセット大通り』やショウビズ界を舞台とした群像劇のいくつか以上に、スタンリー・キューブリック『シャイニング』と親しい印象を与える。
賞レース的にはもっぱらジュリアン・ムーアの演技が高い評価を集めているようだが、ワシコウスカとしても現時点でキャリアベスト候補の働きだろう。険しい表情を作っても天性の無邪気さとでも云うべきものが隠しきれず、どうしても微かに立ち上る陽性のムードが彼女のキャラクタの動機をさらに不詳にし、映画のサスペンスをいっそう複雑に掻き回している。ちなみに、ワシコウスカがムーアをトロフィで撲殺するカットは、ワシコウスカがカメラに殴りかかってくるように撮られている。あたかもクリント・イーストウッドのようである。
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