[コメント] めぐり逢わせのお弁当(2013/インド=仏=独)
辛抱強く丁寧な演出を維持した佳篇で、イルファン・カーンもべらぼうに巧いが、男女が結び育む誼みにとって「弁当」より「手紙」に重きが置かれがちなあたりには粗相の気味がある。弁当そのもの(食材・調味・盛り付け、食べ方、等々)でコミュニケーションを成立させる着想がもう少し持てればなおよい。
ニムラト・カウルの上階に住む彼女の伯母さんだか叔母さんだかは何かとうるさく口を挟んでくるが、声が聞こえるばかりで一向に姿を現そうとしない。演出家の意図がどうであったかはともかく、私にはアッバス・キアロスタミ『ライク・サムワン・イン・ラブ』の鈴木美保子(奥野匡の隣家の婆さん)が想い起こされて、背筋にいささか冷たいものが走る(あの婆さんはちらっと顔も出していたけれど)。
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