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[コメント] 我輩はカモである(1933/米)

問答無用の傑作。マルクス兄弟とレオ・マッケリーの幸福な邂逅。
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個々のギャグについてはもはや何も云うまい。しかし、『我輩はカモである』が映画らしい立派な画面を持った作品であり、だからこそただ兄弟が大暴れするだけの映画を超越することができた、ということは是非とも銘記しておかねばならないだろう。この傑作が生まれるためには、度外れたエネルギーを放つ兄弟と優れた演出家・撮影者の出会いが不可欠だったのだ。

ところで、マルクス兄弟にあっては物語のためにギャグがあるのではなく、物語がギャグに従属している。映画は「現実の論理」とは無縁な「映画の論理」によって進行するものだが、マルクス兄弟は「現実の論理」はもちろん「映画の論理」にも縛られていない。ただ「ギャグの論理」の中に生きているのだ。彼らに対してよくなされる「アナーキー」という評はそれを云い換えたものに過ぎない。すなわち、必ずしもギャグの内容がアナーキーなのではなく、映画内での「ギャグ原理主義」的な生き様こそがアナーキーなのだ。その「ギャグ原理主義」が最も徹底された作品である『我輩はカモである』がマルクス兄弟の代表作・最高傑作と呼ばれるのは、それゆえしごく当然のことである。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)ぽんしゅう[*] shiono りかちゅ[*] ゑぎ

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