[コメント] マンハッタン無宿(1968/米)
クリント・イーストウッドの演技は本当にオモロ格好いい。このウォルト・クーガンというキャラクタのふてぶてしさはハリー・キャラハン以上かもしれない。こんな女性への対し方が認められるのはイーストウッドだけだ。
犯人の小粒感であるとかスーザン・クラークの扱いの半端さであるとか欠点はいくつも挙げられる。肝心のアクション演出はさすがのキレを見せるが、それとてシーゲルにしてはさほど特筆すべきものではないだろう。だが、挙措のひとつびとつがこの上なく格好よく面白いこのイーストウッドは、娯楽映画にとって最高のキャラクタだ。
「組織」と「個」、「法」と「信念」、「都市」と「地方」の対立/摩擦が描かれてはいるが、それはもっぱらイーストウッドのキャラクタの魅力をかたちづくるためのものであり、そこに『ダーティハリー』のような批評的視座は認められない。だからこそ、観客を安全地帯から引きずり出して胸苦しい居心地の悪さを与えてしまう傑作『ダーティハリー』よりも、本作のほうが「娯楽」としての純度は高いとも云える。
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