[コメント] ビール・ストリートの恋人たち(2018/米)
マーク・フリードバーグの仕事は期待に違わず、ジェームズ・ラクストンの撮影も全篇を通じて第一級の充実ぶりを誇る。キキ・レインとステファン・ジェームズが登場する巻頭シーンの息を呑むような美しさには「このような黒人の肌の発色はかつて映画で目にしたことがないかもしれない」とまで思わされる。
バリー・ジェンキンスにおいても、その純粋な演出の力は『ムーンライト』の上を行く。レインとジェームズが刑務所で面会するシーン、対面窓に隔てられて正対したふたりが交互に撮られるのは面会シーンの常だが、ここにおける各カットのカメラ位置・フレーミング調整がまったく丹念きわまりない。この上なく繊細かつ力強い一八〇度の切り返しが繰り出され、思わず圧倒されてしまう。加えて記せば、ジェームズの「斜視」も両者の視線の交錯にスリルをもたらし、画面の感情、シーンが孕む動揺にひとかたならぬ寄与を果たしている。
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