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[コメント] アド・アストラ(2019/米)

冒頭、巨大アンテナ崩落のスペクタクルに大いに目を瞠る。推測の域を出るものではまったくないが、ディジタル描画班を下請け的に扱って丸投げしていては、このような画面造型は決して生まれないのではないか。確かな演出の意思が漲っている。無重力空間に漂う死体の姿勢にも何やらこだわりがありそうだ。
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**ネタバレ注意**
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終盤、期待を煽りに煽った末ついに現れたトミー・リー・ジョーンズは、期待されたような「狂気」や「信念」という以上に「耄碌」の造型が施されている。『地獄の黙示録』の百番煎じかと思われた物語は突如として、『地獄の黙示録』のSF的変奏ではなく、『地獄の黙示録』の介護問題的解釈であったことが判明する。さらに親の自主的かつ消極的棄老が観測されるに至り、物語の類型は『楢山節考』に急接近を果たす。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)DSCH[*] けにろん[*]

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