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[コメント] 目撃(1997/米)

このような他愛もない題材を問答無用の傑作に仕上げてしまうのがイーストウッドじゃなかったのか、という多少の失望は覚えざるをえないものの、陰ながら娘を想うイーストウッドの様には不覚にも目頭を熱くしてしまった。
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この映画におけるイーストウッドは変装を繰り返し、まさに神出鬼没という語にふさわしい仕方であらゆる場に出現し、また消え去る。したがってここでのイーストウッドは、かつて彼がセルジオ・レオーネとの三部作や『荒野のストレンジャー』『ペイルライダー』で演じた「名無し」以上に幽霊的で「誰でもない男」であると云ってもよいはずなのだが、しかしそうならないのは、彼が娘ローラ・リニーに対してはどこまでも「父親」だからである。イーストウッドはたとえリニーが気づいていないところでも彼女の父親であり続けていたのだ。それは「写真」や「冷蔵庫」が端的に示しているだろう。

リニー以外の者にとっては「誰でもない男」であるイーストウッドが、ただリニーとだけは「父娘」という代替不可能な唯一固有の関係を守り続けていた。これはやはり感動的なことではないだろうか。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)jollyjoker

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