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★5 | さすらいの女神(ディーバ)たち(2010/仏) | すべてのシーンを抱きしめたい。私が偏愛する映画の多くは巻頭の早い段階で理由不詳のまま私を打ちのめしてしまうのだが、この映画もまたそうだ。ソニックスの“Have Love Will Travel”とともにネオンサインで描かれたキャスト・クレジットがくるくる回るオープニング・タイトルからもう泣けて仕方ない。 [review] | moot | [投票(1)] |
★3 | 海と大陸(2011/伊=仏) | 確かに『君を想って海をゆく』や『ル・アーヴルの靴みがき』を経た上で云えば、不法移民問題を映画として扱う仕方には芸が乏しげだ。一方で、本筋の補助線たる主人公青年の性格造型(バイクもらってはしゃぐとか、金髪の嬢にええかっこ見せたくてめかしこむとか)は丹念に施されており、愉快の情を誘う。 | 水那岐 | [投票(1)] |
★3 | フラッシュバックメモリーズ 3D(2012/日) | ディジュリドゥはトロンボーンに次いで3D的な楽器だ。不出来な3D映画の奥行きが「連続」ではなく「複数の層の重なり」でしかないことを逆手にとって、前景と後景を「分断しつつ反響する」関係に演出したのは従来の分割画面の三次元的応用で、画面の情報量を上映時間で割った値が評価基準ならば傑作。 | ぽんしゅう | [投票(1)] |
★4 | MAD探偵 7人の容疑者(2007/香港) | 金田一耕助にしてもシャーロック・ホームズにしても名探偵というのは変人の素質があるものだ。その傾向を推進すればこのラウ・チンワンが生まれるのも必然かもしれない。作中で最も信用できないキャラクタこそが探偵というストーリテリングの冒険。語り手と観客が拠って立つ足場は始めから崩壊している。 [review] | MSRkb | [投票(1)] |
★4 | THE GREY 凍える太陽(2011/米) | リーアム・ニーソンの体躯・相貌が「生存」「アイリッシュ」「父」の主題を収斂して同時的に体現する。また極寒世界は彼の心象風景、あるいは自殺願望が召喚したかに見え、即物的極限状況と記憶/精神の二重写しの構図が虚構らしい必然性を持って提示されている。そしてラストシーンが無茶苦茶格好いい。 | m | [投票(1)] |
★4 | のんちゃんのり弁(2009/日) | クレジットされているだけでとりあえずその作品を見にゆこうかしらと思わされる数少ない撮影者のひとりである笠松則通は、ここでも緒方の三次元演出の要諦となる奥行きに富んだ画面を的確に撮り上げている。三次元演出とはたとえば、背後からの岡田義徳の忍び込みだとか小西真奈美の画面奥へのダッシュだとか。 [review] | 赤い戦車, ちわわ, ぽんしゅう, シーチキンほか5 名 | [投票(5)] |
★3 | 恋のロンドン狂騒曲(2010/米=スペイン) | 好球必打的だが一球入魂的ではない制作態度は作品の継続的量産のためで、あるいはアレンには(登場人物の重複こそないものの)バルザック『人間喜劇』のような構想があるのかもしらない。無数のアレン的物語を(創作というよりも)収集・集成し、フィルモグラフィを一個の宇宙として提示するという計画。 [review] | ina, ぽんしゅう, けにろん | [投票(3)] |
★4 | 女と銃と荒野の麺屋(2009/中国) | 砂漠に原色を持ち込み、漫画顔を並べながら自身は取り澄ましているチャン・イーモウの神経はごんぶとである。こんな抽斗を隠し持っていたなんてやはり油断ならぬ演出家だ。役者で云えばスン・ホンレイの一人勝ち。その過剰に洗練された所作が独特の緊張感と滑稽味を映画にもたらして企画の面目を保たす。 | ナム太郎 | [投票(1)] |
★4 | カリスマ(1999/日) | 良い映画がすべてそうであるように、これも非常に明快な映画。 [review] | MSRkb, DSCH, ina | [投票(3)] |
★5 | 叫(2006/日) | これは風景論・時間論/記憶論として語られる悲痛な愛の物語なのだから、単に『回路』『CURE』の焼き直しと見做すことは不当だ。とは云え、やはり刺激的な諸イメージを愛でることがこの映画と対する仕方としてはとりあえずふさわしいだろう。ま、それが「いつもの黒沢映画」と云われてしまう所以なんだけど。 [review] | MSRkb, ナム太郎, おーい粗茶, shionoほか6 名 | [投票(6)] |
★3 | 奇跡のリンゴ(2013/日) | 中村義洋の農業残酷物語。前人未到の難事業に打ち込んで地獄を見るに至る阿部サダヲの心性を賭博師や開拓者ではなく合理主義者のそれとして拵えたところ、却って業の深さが顕わとなるあたりに妙味がある。無口で威厳過剰の山崎努は全発言を名台詞にする気かしら。菅野美穂さんにはお慕い申し上げておく。 | ペペロンチーノ | [投票(1)] |
★3 | はじまりのみち(2013/日) | 『陸軍』引用箇所と同じく水平方向を基本としつつもカメラ/荷車の緩慢な移動感は彼らの重労働を幸福の別称に書き換えるだろう。雨と同時に木立に差し込む光が美しい。実直なカットの積み重ねが好もしく、ユースケ・サンタマリアら役者も佳い。木下恵介ハイライト集は正攻法かつ反則。泣くに決まってる。 | ペペロンチーノ, ぽんしゅう | [投票(2)] |
★4 | ナポレオン(1927/仏) | 私が見たのも例に違わずケヴィン・ブラウンロウがリストアしてカーマイン・コッポラが音楽をつけた四時間版で、テクスト・クリティーク的な観点から云ってこれをどれほど「アベル・ガンスの『ナポレオン』」として評価してよいのか、不勉強の私には判然しないのだが、じゅうぶん面白く見られる作品であることは確か。 [review] | 寒山拾得 | [投票(1)] |
★5 | ドイツ零年(1948/伊=独) | 端的に行動のみを描いた力強い画面の連鎖が、混沌を混沌として浮かび上がらせる(少年が理解できないものは観客も理解できない)。凄いカメラ。凄い照明感覚。そして再現不可能のロケーション(こんな「オープンセット」は誰にも作れない!)。これもまた奇跡の映画と呼ぶにふさわしい。 [review] | 赤い戦車 | [投票(1)] |
★3 | 11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち(2011/日) | いちいち絵に描いたようにファナティックな満島真之介のヤバ度は九〇を超えている。井浦新による三島由紀夫像も発明的に新しい。ただし、ここで「新しい」とは正負いずれかの価値を持った評価語彙ではなく、単純に事実の指摘である。映画の質感は伝記的である以上に三島・森田の変則バディ・ムーヴィだ。 [review] | 煽尼采, ぽんしゅう, けにろん | [投票(3)] |
★3 | ロレンツォのオイル(1992/米) | 邪推かもしれないが、よい画を撮りうる撮影者に向かって演出家が妙な指示を出していたのではないか。感動的なお話だとはもちろん思うが、もっとオーソドックスなショットのみで語り、スーザン・サランドンとニック・ノルティには抑えた演技をさせるべきだったろう。演出家自身が物語の強さを信じていないように見える。 | Sigenoriyuki | [投票(1)] |
★3 | オブリビオン(2013/米) | オルガ・キュリレンコにとっては(日本における公開順で云えば前作に当たる)『Land of Oblivion』に引き続いてのオブリビオン映画出演となる。向後キュリレンコ・ファンと会話を交わす際には互いにどちらのオブリビオンを指しての発言であるかをいちいち瞭然とさす必要が生ずるなど、何かと厄介である。 [review] | 炭酸飲料, かるめら, Orpheus | [投票(3)] |
★4 | みえない雲(2006/独) | ジャンルの横断に節操がない。しかし、恋愛映画、ディザスタ映画、難病映画、原発禍を訴える映画、といったそれぞれはすべて本気で撮られている。群衆のパニック演出が出色だが、以降の転調も支持したい。私たちは日常を取り戻さなければならない。「疎遠だった伯母」の扱いに映画の希望と優しさがある。 | ユリノキマリ | [投票(1)] |
★4 | 浜辺の女(1946/米) | 何かがおかしい。ひとつびとつのカットが、繋ぎが、どこかおかしく、それが不安と恐怖を煽り立てる。「昼の光」と「海辺」がそう呼ぶことをいささか躊躇わせるが、しかしこれはファム・ファタルをめぐる堂々たるフィルム・ノワールだ。 [review] | 赤い戦車, ゑぎ | [投票(2)] |
★5 | BIRD★SHT(1970/米) | 女性の対比的配置など物分かりのよい図式性を持つ一方『荒武者キートン』のように線路上をぽこぽこ走りさえする無駄に長尺のカーチェイスほか個々の演出は脱線・横滑り・暴走を重ねて破綻を恐れない。飛行シーン(どうやって撮った?)から最強のラストカットに至る流れはぐうの音も出ない未曾有の圧倒感。 | ぽんしゅう, けにろん | [投票(2)] |