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[コメント] 第9地区(2009/米=ニュージーランド)

☆2.49という感じか。冒頭の社会派ドキュメント風の作りが非常に面白く、それだけに一転主人公にズームアップしすぎた後半が非常に残念。終盤の演出も「ハラハラ」ではなく間延びしすぎて「イライラ」になっていた。
サイモン64

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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2010.4.14 なんばパークスシネマで鑑賞。

〜〜〜

ある日突然ヨハネスブルグ上空で停止した宇宙船。中を開けてみるとボートピープルなみに弱った宇宙人がうじゃうじゃ。連中をとりあえず「第9地区」という名のゲットーに住まわせたが、どうも連中は民度が低くて手が付けられなくなってきたので、第10地区という新設難民テントに移住させることになり、主人公がその責任者に任命されたが...というのがお話の発端。

冒頭の社会派ドキュメント風作りが非常によくできていて楽しい。小説・映画の表現形態によらず、SFの一つのスタイルとして、こういう非日常的事象が発生したときに社会に巻き起こる色々な事件を描き出して見せるというものがある。この場合、作り手の引き出しの数と想定の深さが楽しみにつながっていくのだが、この映画の冒頭はその点よく出来ていたと思う。

前編を通してドキュメンタリー風創りになっているのもいい。シーンによっては都合よく主人公主観になっていたりもするのだが、このあたりはご愛嬌というところか。

しかし、主人公が謎の病気に感染して以降はカメラが主人公にズームアップしすぎるために、非常に話の規模が小さくなり、社会的な面白さに欠けてしまう。また、主人公の感染にしても宇宙船の燃料がなんで感染の原因になるのかとか、理性で無視できる以上の突っ込みどころが出てきてしまい、非常に気になってしまう。『アバター』も、いろいろと突っ込みどころはあったのだが、「まあ、そのへんはいいじゃんどうでも」と思える程度の隠蔽がなされていたが、この映画ではそのまんま投げっぱなしで解釈が難しい。

冒頭の作りからは、「差別」というものに通底する人間の心理を描き出して欲しいと期待させたのだが、後半一転して「ロボコップ」とか「アイアンマン」みたいになってしまい、「カラーパープル」「インビクタス」「遠き夜明け」みたいなところからどんどん離れて行ってしまうのも残念だ。

特に、宇宙人が逃げ切るまでのシーケンスは、いたずらに時間稼ぎをしているだけで、「ハラハラ」ではなく「イライラ」になってしまったのが痛い。

28日後』→『28週後』のノリで、『第9地区』→『第10地区』とかの続編が出てくるのだろうか?もしも続編があるなら、3年後に軍隊を引き連れて帰ってきた宇宙人親子の一行と地球人の異文化が衝突する悲喜劇を描いて欲しいと感じる。

宇宙人のオーバーテクノロジーは凄まじく、圧倒的な兵器の能力の差も、もっと見せて欲しいところではある。

しかし、『アバター』の時も思ったのだが、どうして全く環境の異なる星で進化した生命体なのに、二本腕に二本足で、体の作りは左右対称で、捕食機関と生殖器と排泄器官は地球の人間と同じ位置にあって、異星人種同士の性交が可能になっているのだろうか?この辺から不思議でならない。

全体として面白くないことはないし、むしろ面白いんだけど、どうにも作りが稚拙で十分楽しむことが難しかった。

〜〜〜

月刊ムー氏が触れている「アーリーアダプター」は、アバターへの半ばやっかみめいた形で登場したのではなかったかと思う。自称映画通ってのは例えばこんな形で始末が悪いし、素直に面白いものは面白い、面白くないものは面白くないと言えなくなるようだったら、映画通なんてならなくていいやと思う昨今だ。

(評価:★2)

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