ひたすら莫大な制作費を浪費していたであろう監督が、すこしリンドンと重なっておかしかった。無論偉大な芸術を残した監督と、浪費のみのリンドンとは比べものにならないのだが、出資元は気が気でなかっただろうなと思うと内心笑えるものがあった。

と、書いたのが何年前のことだったか忘れたが、その後何百本と映画を見て10年以上の時間が経って、2016年にもう一度この映画を見たときに、それこそ全コマが絵画のような美しさをたたえ、そしてろうそくの光だけで撮った映像が意味するところ、つまりこんな映画を撮ることが許されるのは本当に才能のある人だけだという当たり前のことが改めて良くわかって絶望的な気分になるとともに、この映像美に引き込まれずにはいられない。