[コメント] 天空の城ラピュタ(1986/日)
「最後のチャンスだ、すり抜けながらかっさらえ!」←このセリフに尽きる。
話そのものは『カリオストロの城』とよく似た構成(古代の財宝、それを継ぐべき本家と分家の末裔、財宝を狙う悪党)だけど、また違った魅力的な味になっている本作。
借りてきたキャラクターじゃない分、お話はのびのびと作ってる感じがする。「カリオストロ」ではルパンが独演していた悪党とヒーローを、ここでは女空賊ドーラと少年パズーが分業している。これにより悪党とヒーローの色彩がより鮮明に描かれ、神話・冒険譚の基本形(ヒーローが従者を得て怪物を倒しヒロインと宝を得る)により近づいている。
最初から主人公が超人として登場する『カリオストロ』や『未来少年コナン』と違ってパズーは生身の子供であり、大人の助けを必要とする。期せずしてその成長を助けることになる悪党ドーラはこの話の主要な味付けになっている。
芯が強く常に主人公を励まし助けるシータと、まさに悪の権化であるムスカも例によって非常に上手に表現されているが、中でもドーラのキャラ造形はすばらしい。
映画中盤のクライマックスであるシータ救出劇で、ハチのように飛ぶ不思議な飛行機を操りながらドーラがパズーに叫ぶ冒頭のセリフ「最後のチャンスだ、すり抜けながらかっさらえ!」は全ての男の子の心を点火させ、覚醒させる。
ジブリ作品には珍しい、男の子が男へと成長する物語を描いた本作の魅力は、まさにこのシーン・このセリフに集約されていると思う。
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