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[コメント] ブラックホーク・ダウン(2001/米)

何のための戦いなのか。
たかひこ

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







戦火の勇気』を見てみてください。序盤で「敵は豚だ」といってのけます。このあまりにも武骨な意志、しかしそれは目的的でもあります。”われわれは他国の心を知り得ない”という映画としての意図がはっきりと打ち出されたおかげで、観衆はそのことを酌量し作品の寓話的性格を過誤なく読みとることができます。またそれは、現実の世界でも必要な、残忍ではあるけれども不可欠な意志ともいえます。

この作品の意志といえば…。「仲間を救いたい」。それはわかります。何とか暴力をとめなければならない。それは皆共通の思いでしょう。しかしこの場合”仲間”とは、ソマリアの人々も含まれるのでしょうか?思えばアメリカの介入はそもそもは他人のための自己犠牲を強いる利他的なものでした。その上での、作戦。しかし、作戦自体の描写はおおざっぱであって、たとえば作戦の要、建物突入後の内容はほとんどなく(合計しても10秒程度)、捕虜が車両に乗り込むシーンが背景としてあるだけで、あとはほぼ銃撃戦に終始します。何のために戦っているのかが見えてこない。だからこそ、あとから台詞で補う必要があったのではないでしょうか、その台詞が説得力をもったかは別にして。意志不在。どうもそのように思えてしかたないのです。

要するに、作戦が決然とした意図と目的をもった作戦として描かれずに、ドラマ化されたバイオレンスのみが観衆を襲っているかのようで、これでは”扇情”自体が目的と取れてしまいます。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (2 人)sawa:38[*] けにろん[*]

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