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[コメント] MEG ザ・モンスター(2018/米=中国)

巨大資本のせいで出来損なった、10年代の悲しい大作
アブサン

メガロドンが暴れまくる映画なのでそこは楽しいのだが、話の流れを無視して挟まれるギャグが酷い酷い。

次々と仲間が死んでいく展開に他のキャラが悲しんだり激昂したかと思えば、次のカットではあっけらかんとそいつが仲間の死をネタにふざけたジョークを飛ばしてヘラヘラ笑ってるという流れが異様に多い。「仲間を見殺しにした」ことがジェイソン・ステイサムのトラウマだという話なのに何やってるんだ。 特にDJはまれに見るゴミキャラで、映画を致命的に殺した。こんなやつで誰が笑うのか。

ヒロインが茶目っ気を見せる演技も、別の流れであれば魅力的になっただろうに、よりにもよって仲間と多くの民間人が死んだすぐ後にやるから、なんだこのふざけた女という印象になってしまう。 それにしてもこのヒロイン、ステイサムに切れた直後に言い寄ったり、一瞬メガロドンを殺すことに反対したと思ったら結局自分がその役目をやると譲らなかったり、終始あやふやすぎるキャラクターだったな。

メガロドンが海水浴客を襲うという目玉場面でも、船上結婚式の犬、バカ親子、ナンパ野郎等の笑えないどころかイラつくギャグがひたすら続くので、せっかくの緊迫感も台無しに。 わざわざ展開をモタつかせる笑いをクライマックスに入れるのは下策以外の何者でもない。

思うにこの映画、脚本段階から相当揉めていたのではないだろうか。 中国関係の不必要な描写だらけだし、かなりスポンサーの横槍が入ってそうだ。それでこんなにちぐはぐな脚本なんだと思う。

恐らく編集段階でも揉めて、結果、わかりやすくウケが狙える(と思ってスポンサーは安心するが、実際にはまったく面白くない)ギャグを延々と採用し続ける、という悲惨な出来になったのではないかと考えてしまう。

アクション面ではいい印象があるだけに、非常に残念なことだ。 何度も噛み付こうとするメガロドンの動きはチャチくてどうかと思ったが、他ではきちんと巨体の迫力を感じさせていて、いいモンスター描写だったと思う。

それに何といってもステイサムは、相手が巨大鮫にも関わらず、その運動神経を遺憾なく発揮していて素晴らしい。 迷いのない動きで主人公の判断力や行動力を体現する見事な演技をしていた。

ドルフ・ラングレンは『処刑鮫』では申し訳程度にしか鮫を殴ってなかったけど、ラストでステイサムがメガロドンとナイフ格闘までするとは思ってなかったよ!

(評価:★3)

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