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[コメント] ババドック(2014/豪)

前半は「ローズマリーの息子」とでも呼びたくなるほど容赦がない。このリアルなキツさは女性監督ゆえだろうか。ホラーで子供を扱う映画は全てこのレベルまで挑んで欲しい。
アブサン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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真に迫った息子の凶悪さに比べて中盤以降の母親の暴れっぷりは演技過剰だしババドックのわざとらしく浮いた演出も鼻につくなと思っていたのだが、終わってみればこれが不思議と作品をまとめている。

中盤まではこのクソガキ相手じゃどうやってもハッピーエンドは無理だろうしむしろ酷い目に遭わせなきゃ認めねえぞくらいのことを考えていたのに、ラストの手品風景は素直に温かく見守れたのだから監督は相当の凄腕だ。

息子が壁に叩きつけられるシーンは子供相手で加減しているとは言え、ちゃんと(2回も)ドッスンドッスンとマジでぶつけてるので、流石にこの子を助けてあげてほしい…という気持ちが湧いてきたのも実に上手かった。

あれだけ家庭を崩壊させておいてバッドエンドにしなかったのも逆に思い切っていて、めちゃくちゃな覚悟を感じる。「己の闇を受け入れ、飼いならすしかない」という有り触れた答え(とまるで漫画のようなそのまんま過ぎる比喩表現)で終わるが、でも結局、これしかなかったのだ。従妹の鼻は折ったし金持ちの車も壊したし、なんなら愛犬もブチ殺したし子供を叩きつけたけど、でも仕方ないのだ。家族だからそういうこともあるさ。なんとも凄味のあるハッピーエンドである。

ババドックに餌を与えるエピローグは、監督が母親の顔芸に惚れて捻じ込んだとしか考えられないほど無駄な気合の入り方で嬉しくなる。映画的には全然必要じゃなかった顔面演技だと思うのだが、逆にそこが気に入ってしまった。

(評価:★4)

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