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[コメント] アベンジャーズ エンドゲーム(2019/米)

アイアンマンが嫌いだった。
アブサン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







アイアンマン』自体は今でも好きな作品ではない。

自分でじゃんじゃか武器を売って戦争を煽ってきたくせに、その武器が横流しされ自国向けに使われただけでいきなり正義へと転身、平和に目覚めるとかあまりに薄っぺらで下品で呆れる。ようこんなナショナリズム丸出しのヒーロー映画をイラク戦争中に作ったなと思った。『インデペンデンスデイ』のころは「またアメリカ万歳かよ」とみんな怒ったりしてたのにな。

アベンジャーズや他のシリーズには面白い作品があったが、アイアンマンことトニー・スタークに対しては常に微妙な感情が付きまとい彼が正義を振りかざしたり説教をするたびに違和感を覚え続けていた。しかしシリーズを見るごとに、極悪人が更正する物語と同じような感覚で彼を見られるようになって行った。

そしてトニー・スタークは、シリーズの節目である今作『エンドゲーム』でボロボロになって死んだ。もう一人の主人公キャプテン・アメリカ=スティーブ・ロジャースのその後と比べなくても結構な仕打ちである。

思い返せば、シリーズでは随所でトニー・スタークの成長が描かれていた。その終着点としての家族の喪失と死だったのだと思う。詳しい制作事情は知らないので当初の予定にあったかわからないのだが、「アイアンマン」の内容から考えればこの結末は必然だった。一作目からの引用である「And, I am Iron Man」の台詞もこのためだったのではないかと思える。一作目は陽気なヒーロー映画として扱われてたけど、やってたことはどう考えても最悪だったからな。

彼の扱いにはまるで期待していなかっただけに、またアイアンマンが嫌いだったからこそ、この決着を真摯だと感じた。シリーズは世界的にめちゃめちゃ売れたそうでこの作品は歴代興行収入1位とのことだが、そんな映画がちゃんとアイアンマンに苛烈な死を用意できたことは、価値があったと思う。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)じゃくりーぬ プロキオン14 サイモン64[*]

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