コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] ドグマ(1999/米)

キリスト教系の学校に通っていたときに感じた違和感を、ユーモアと誠実さで丁寧にほぐしてくれた。ちょっと大げさに言えば宗教体験というものを味わえたのかもしれない。
アブサン

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







高校のときは毎朝礼拝したり聖書の授業を受けたりしてましたが、思わず突っ込みたくなるような説教のオンパレードでびっくりだった。あまりにも「キリストが正しい」という前提が強すぎて、最初のころは結構神妙に聞いていたつもりだったのだが頭の中に疑問ばかりが湧いてきてまったく心に入ってこないのだ。有名なユダの裏切りとか、予言を否定するユダに対してキリストが「いいや、絶対お前は裏切る!絶対!裏切る!」と圧力をかけすぎたせいでつい裏切っちゃったんじゃないかとすら思えるエピソードだ。

そして当然というか、聖書の授業で一番盛り上がるパートはキリスト教の残虐な歴史。こいつらしょうもない理由でどんだけ虐殺してるねん、と教室では笑いが絶えなかった。聖書の内容と矛盾し、その権威を借りたせいで過激化したとしか思えない歴史を教えられ、個人的にはどうやったらこんな宗教信じられるんだと不思議でしょうがなかった。でもこの映画は、信仰にとって大事なのは聖書の一字一句だとか教義ではないということを、わかりやすく伝えてくれた。

「宗教ではなく理想を信じろ」「神は重荷ではなく祝福であるべき」

これらの台詞にはまさに目からウロコが落ちまくりだった。人間と信仰の関係や、宗教者がなぜ入信するのかも、感覚として理解できた気がする。 虐殺の歴史をうれしそうに語っていた教師(それでなくても変わった人だった。ちなみに牧師)の気持ちも、今なら少しわかる気がする。言葉ではうまく説明できないのだが…

それと、この映画のベースはキリスト教ではあるけど、他の宗教から見ても納得できる受け口の広さを感じる。「唯一絶対神」アラニス・モリセットの奔放な振る舞いにそれがあらわれていて、逆にこの映画を作った人たちの真剣さが伺えます。

いやはやしかしこっちは純粋に感動してんのに、オチの治療法がベストキッドってのがなんとも脱力させられる… 確かにこんな神様だったら信じたくもなりますわな。

吸って吐いて…

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)ペペロンチーノ[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。