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[コメント] クレヨンしんちゃん 雲黒斎の野望(1995/日)

オトナ帝国』以前の映画作品だと『ヘンダーランド』『暗黒タマタマ』が人気だが、個人的にはこちらを推したい。『戦国大合戦』への萌芽も確認できる。
アブサン

他のクレしん映画を見直してみると面白いシーンが単発的にはあるものの、映画としては会話やギャグの間が悪くて気になることが多いのだが、『雲黒斎の野望』ではその辺のメリハリが付いていて最後までテンポがよくて飽きない。

敵の忍者が後半で再登場する際にカスタネットの音で一瞬にして緊張感を高めたり、演出のキレもいいと思う。二段仕掛けでストーリーを詰め込んだことがテンポ感にいい影響を与えている。

SFはわかり難くて嫌だと作中でみさえがこぼしているが、服装が一人だけ変わらない所でタイムパラドックスの影響を絵的におもしろく見せた工夫にも感心する。任務開始より前の時間に戻り、これから過去に赴く自分たちを隠れて応援する野原一家という構図はベタだがやはりワクワクするし、吹雪丸とリング・スノーストームの関係をくどくど説明しなかったところもいい。

菜の花畑での決闘や敵城に乗り込む戦国アクションも相当頑張っていて、大人になったしんのすけのアクションがいかにも90年代的なかっこいいアニメーションなのもビックリ。ラストの巨大ロボット対決も重量感の表現が見事だが、こちらではそういう「かっこよさ」ではなくコミカルに振り切ったバランス感覚がまた上手い。

吹雪丸のエピソードがかなり真面目に描かれているのも興味深かった。わざわざ刀が刃こぼれしていく描写を入れるこだわり、小刀の継承、蝶や池といった戦国大合戦に通じるモチーフもすでに見られる。野原一家との冒険が終わり、これから戦へ赴く吹雪丸が蝶を見つめたまま無言で佇むカットは、母を救った安堵なのか武士としての切なさなのか、なんとも言えない情感が漂っていてとてもいい。これも戦国大合戦の廉姫のイメージと重なる。

あと、敵の玄田哲章を普通に銃でブッ殺すしんのすけには驚いた。ラストはアクション仮面(玄田哲章)の技で敵ロボを倒すくせに! しかも散弾的な武器の特性が同じというお遊びつき。今だと流石にできないかな、これ。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ぽんしゅう[*]

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