『バットマン ビギンズ』でリアル指向の強いバットマンを作り上げたクリストファー・ノーラン監督の続編ということで、こちらも非常にストイックな仕上がり。タイトルから「バットマン」を排したのも、その現れか。

個人的にはジム・キャリーが出てた頃のアニメチックな感じも非常に好きなだけに、違和感を感じないこともないけれど、まあさすがに２作目になったのでその辺は慣れて来た。

アクションの派手さという点では前作よりもおとなしめになっているけど、ジョーカーという敵との心理戦に重きを置いたストーリーテリングは正解。まさかトゥー・フェイスまで出てくるとは思わなかったが。

悪が単純な悪役ではなく、ヒーローがヒーローたり得ないというのは、カタルシスの面で消化不良を起こしかねないけれど『スパイダーマン』にしても本作にしても、最近は単純なヒーローというのは好まれないのかしらん。大人が見る分にはいいけど、子供が見たら何とももどかしく映るんじゃないだろうか。

それでも、理屈ではなく人を傷つける現代型のジョーカーに対し、一線を踏み越えることなく立ち向かったバットマンには説得力があったし、その愚直なまでの正義感にさすがのジョーカーもあきれるといった感じで、わずかながらも人間味を見せたところにこの映画の意味があると感じた。

蛇足だが、レイチェル役に見覚えがないと思ったら、キャストが変わってたのね（ケイティ・ホームズ→マギー・ギレンホール）。ひとりだけ「あれ？誰これ？」状態だったので非常に困った。