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[コメント] プレステージ(2006/米=英)

複雑だけど丁寧で、冷たいけど熱い作品だと僕は思います。
炭酸飲料

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







要するに、これは「本物(?)の魔術vs人生を掛けた手品」ってことなんじゃないでしょうか。

タネも、アンジャーの方は中盤でさっさとバラしてるし。 (バラすっていうか演出的に隠す気がなかったんじゃないでしょうか。「魔法の機械」って結局タネとは言えないし)

キモはボーデンの方でしょう。 人生を犠牲にして完成させるマジック。そこがこの作品の最後のオチだと思います。

たしかに、ボーデンのトリックは「家庭より仕事が優先」だけでは済まされないほど倫理を欠いたタネとは思いますが、 「ドラえもんの便利道具」に手を出したようなアンジャーに対し、ボーデンはある意味正々堂々としたトリックを使った。これって「マジシャンとしての純度」での争いとして観れません? 僕はこの醜くも美しい対決にとても熱い思いを感じました。

2人とも同じマジックを使うが、 ボーデンにはタネがある。アンジャーにはタネがない。 「偉業」を成したのは、タネがあっても観客を騙せたボーデン。 それが映画の最後の結論なんじゃないでしょうか。

アンジャーも、ボーデンに匹敵する「犠牲」は払ったと言います。 たしかに。 ですがその「犠牲」とは「自殺と他殺」を同時に行うような方法。 ボーデンですら呆れてしまいそうです。

いずれにせよ、この二人、フツウとは違う、倫理を欠いた人達ではあるけど、 その異常なほどの執念と虚しさがとってもいい味だしてました。

・・・ところでこの監督、ストーリーを語る技術がすごいですね。

メメント』みたいにあえてややこしくしたり、 『プレステージ』みたいにややこしいハナシをわかりやすくまとめたり。 と思いきや『バットマン・ビギンズ』みたいなストレートな話を奥深く描いてみたり。本作はめちゃややこしいハナシだと思うんですが、バカな僕でも結構すんなりと飲み込めました。

思えば、同じくアメコミ映画で成功しているブライアン・シンガー監督も複雑で驚きのオチの『ユージュアル・サスペクツ』を監督してましたね。 ・・・シンガー監督とノーラン監督って共通点多いかも?

シンガー作「X-MEN」のヒュー・ジャックマンとノーラン作「バットマン」のクリスチャン・ベール

二つとも結構倫理的な話が入ってるし。

なんか男前な俳優多く使うし。。

シンガー監督って、ゲイだったよな。

・・・ノーラン監督って・・・・?

今調べたら、ゲイ説がけっこうあった・・・だからどうと言うわけではないっすけど。

・・・話がすげぇ脇道にそれました(汗)。

以下追記。

IN4MATIONさんの評価で提示した「謎」、ちょっとゾッとしました。。 そーいうの、思いつきもしなかった・・・

ただ、ボーデンは本当に双子だったと思いたいですね。 じゃないと、ボーデンもズルい方法使ったことになって、ガッカリしちゃう(笑)。

あと、あの「複製機」で作られた人間が、どっちが「オリジナル」でどっちが「複製」かって話。

僕は両方とも「オリジナル」と考えてます。 記憶も何もかも同じ。同じ空間に同じ「自我」が2つ作られたのだと思います。 だからこそ、自分であり、他人である「自分」を殺すということがものすごく罪のある行為だと感じられますしね。

↑全部「そーあればいいな」という希望ですが。

(評価:★5)

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