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赤い戦車さんのコメント: 更新順

★4周遊する蒸気船(1935/米)アン・シャーリーはほとんどのカットにおいてどこか遠くの一点を見つめるような視線・姿勢(スタッフが持っている何かを見つめている?)をしていて、台詞も極力喋らせない。どうも口を開かせると大根だったのでは疑惑が付きまとうものの、全編で20弱ある彼女のアップはどれもとびきり美しい。クライマックスのレースと伝道師のような荒唐無稽こそ映画の真髄だ。[投票]
★3婚期(1961/日)前半いまいち乗れないのはもっぱら笑いが台詞から生じる性質のものだったからだろうか。アクション(ファッションショーのリハでの、壇上の妾と船越英二の合図、それを目撃する高峰三枝子)や小道具(机上を転がり落下する卵)で発生する視覚的な笑いがもっと欲しいと思っていたら、後半はそれが増えて中々楽しめる。宮川一夫はいつものごとく絶品。[投票]
★4ロルナの祈り(2008/仏=ベルギー=伊)どのカットも何かの動作の途中から始まり、途中でまた次のカットへと移っていく。そしてカメラの視点は常にロルナと共にある。私が強く想起するのはやはりドワイヨンだ。必然的にロルナが「行動」し続けるところを映画は描くわけで、アクションは充分にある。 [review][投票]
★3DO YOU LIKE HITCHCOCK? ドゥー・ユー・ライク・ヒッチコック?(2005/伊=スペイン)ヒッチコックというよりデパルマ。ヒッチコックの引用の仕方がデパルマより強引で裏窓、見知らぬ乗客、サイコ辺りを観てる人なら爆笑できる場面がある。まあ、それだけだな。TV映画だから画面は安っぽい。アルジェントが良作を撮るには一流のカメラマンと一流の美術監督が不可欠。近作は予算の無さが目立って観ていて悲しい出来である。冒頭の魔女の話が放置されたまま終わるのが実にらしい。[投票]
★3ラビット・ホラー3D(2011/日)戦慄迷宮』よりは出来が良い。満島ひかりの口がきけないことから視覚とアクションで示していく演出が悪くないのだが、その後彼女の説明的ナレーションが入ることで相殺されているのが難点。序盤30分の恐怖演出は近年のJホラーでも出色で瞬間的な面白さでは『輪廻』にも迫る。このような作品を撮れるなら清水崇もまだ捨てたものではないと思わせる。[投票]
★4暴走特急(1995/米)全て観たわけではないがセガール主演映画なら恐らくこれが最高作だろう。視覚的な伏線、扉や屋根、階段、トンネルなど列車の機能のさせ方、台詞が殆ど無いのにやたら存在感のある女テロリストなど各敵キャラの印象付け、ロングと寄りの使い分けも的確なキレの良いアクション。他の『沈黙』シリーズと比較すれば、映画とは監督によってここまで出来が変わるものなのかと感嘆せずにはいられない。再評価されるべき良質の活劇。[投票(1)]
★2オトシモノ(2006/日)小道具を拾ったときや何かを目撃したときに顕著なフラッシュバック。或いは閉鎖後の駅構内を巡回するシークエンスなど、まともに撮れば魅力的なのにいらぬ高速アップやエフェクトを1カットも2カットも入れてしまう癖。必要以上の説明的ショットを挿入せずにはいられないこの種の性向は、映画から活劇性を奪う害悪でしかない。携帯の使い方も分割画面も全くつまらない。沢尻エリカファンでも厳しいだろう。[投票]
★4嵐を呼ぶ十八人(1963/日)十八人各々の個性を描くという無茶をせずに「十八人」という集団として捉えその無秩序なアクションを一貫して画面に収める聡明さ。造船場の火花や宿舎の暗がり、川辺の風景や野球場の照明落とし。光と影のコントラストを強調し、その空間を冷ややかに切り取る成島東一郎の撮影。松竹時代の吉田喜重作品はどれも一級品だ。[投票]
★2インターステラー(2014/米)つまらぬ。活劇性が微かに感じられるのは冒頭のドローン飛翔の件ぐらいで後はひたすら説明・理屈付けの連続。ロケットに乗る際の「決意」など絶対に外してはいけないアクションを全て言葉で語っている。必要なカットが無い代わりにどざえもんのショットなど撮って一体何がしたいのか。親子愛の称揚はいいのだが、これは映画なのだからそれも運動を通して語るべきだろう。終盤のクロスカッティングの長さは拷問レベル。[投票(1)]
★3猿の惑星:新世紀 ライジング(2014/米)第一ショットは暗闇に奔る紅い閃光から始まり、続いて雷光に照らされたアップカット。猿と人間が街に点った灯を見る、またはラストなど「光」を視覚的な主題として映画を紡いでいる訳で、西部劇風の前半含めそこは評価しておきたい。ただ、人間側・猿側其々の立場を丁寧に説明する分、前作にあった運動感は損なわれている。戦闘シーンでの砲塔の回転に合わせた360度パンやクライマックスの「瓦解」など健闘している部分もあるが。[投票]
★4遭難者(2009/仏)処女短編にして途轍もない才能。「車がやってくる」「警官に車を止められる」「勝手に携帯を操作されたことに気づく」といった挿入してしまいがちな説明ショットの省略とそれに伴う編集の切れ味。酒場やパン屋のカットなど決してこれ見よがしにならない淡い色彩感覚と見事な照明の心地よさ。或いはアデライド・ルルーのアップカットの圧倒的な美しさを讃えてもよい。ギョーム・ブラックは本物だ。[投票(1)]
★4昭和おんな博徒(1972/日)要所で挿入される、恐らく目を見開いて瞬きしないように指示したと思われる江波杏子のアップがとても美しい。事の真相を語るショットの構図もまた凄い。ここでも加藤泰は手前、奥、その中間、それぞれに別の立場の人物を配置して別の動きをさせ、物語的緊張を視覚的緊張として見事に映像化する。それに必要な奥行きを出すため、あの特徴的なローアングルが要請されているのだろう。[投票(1)]
★4燃える戦場(1969/米)この映画の高倉健はその英語の発音のよさもあって異様なほどかっこいい。無口な健さんより『網走番外地』など喋る健さんのほうが魅力的に思えるのは私だけだろうか。それにしても、アルドリッチの手にかかると人が自らの来た道を戻り密林や野原をジグザグに走り抜けるだけでも活劇になる。アップでは皆汗をかき続けている。RIP[投票(1)]
★3くノ一忍法(1964/日)ショット内に人が配置されてるだけであまり動かさず、様式美でも狙ったような構図がちょっと鬱陶しい。引き戸を開けたり閉めたり、セットのちょっとした高低差や画面内の「線」を越えたりといった、動きが少ないなりに画面にアクション的なメリハリを付ける工夫がもっと欲しいのだ。全体的に運動感が不足している。野川由美子はほんとにほんとに素晴らしいので、他の女優のエロシーンいらんから彼女だけ映してくれ笑[投票]
★4イコライザー(2014/米)3.5。「円」「回転」のモチーフは「水」と結びついて「循環するもの」となり、ひいては「悪を本来あるべき姿(正義)に戻す者=イコライザー」の主題となって画面に現れる。その視覚化は見事であるが、『ザ・シューター』という00年代最高級の活劇を目にした者にとって、本作は悪くないという程度の出来であって少々物足りない。 [review][投票(3)]
★4グランド・キャニオンの対決(1959/米)中空を漂う飛行機やゴンドラはそのまま「宙吊り」のサスペンスを画面に広げ、アクションシーンでは的確なカット割で猛烈な速度感と興奮(ヘリとゴンドラの並走するロングショット!金をかけるべき所には金をかけるという心意気・意地)を創出し、ヴィクトリア・ショウがスカーフを首に巻くショットではしっかりと風を吹かせて情緒を定着させ、赤や緑、黄色といった原色の衣装、車、調度品など色彩設計も目に美味しい。[投票(2)]
★4遠い国(1954/米)冒頭でジェームズ・スチュアートが殺人犯呼ばわりされ船員に追いかけられるのだが、これはヒロインと鉢合わせるためのものでしかなくその後一顧だにされない。30分、60分経ってもこの調子で話がよう分からんまま最後まで進んでいくのが凄い。人物のエモーションさえ的確に画面に捉えておけば映画は成立するのだ。実に奇妙な作品。[投票]
★4スイートリトルライズ(2009/日)主題の視覚的提示、それらを発展させる空間・窓・色彩・カット割りに拘った演出。死と愛のイメージが全編にわたって張り巡らされ、石井勲大坂章夫による淡い光がそのキェシロフスキ的な繊細さを補強する。それだけでなく、意表をつくカッティングやアクションなども少なからず存在して映画性を存分に堪能できる。これは矢崎仁司の最高作と思う。[投票]
★3GONIN2(1996/日)女たちのクサい台詞はどうにかならんのかと思うのだが強い逆光、斜光をふんだんに取り入れた照明の達成度は石井隆作品でも最良の部類。また、そのまま和製スラッシャーものの殺人鬼として別作品に出演しても全く違和感のない緒形拳が最高に面白くアクション演出は前作よりも快調。悪くないじゃないか、と途中まで楽しんでいたがとってつけたようなラストはあまりに酷い。あれなら無い方がマシ。[投票]
★4ルームメイト(2013/日)いや、確かに問題点もあるがこれは決して悪くない出来で深田恭子ファンの私は機会がある毎に積極的に擁護して作品が埋もれることを阻止したい。第一ショット、大雨の排水溝のグレーチングとそこに引っかかった、「分離」された人形の頭と身体、その奥の暗闇。これはラストショットの鉄格子と「二人」が「共に」歩を進める後姿、その廊下に射し込む太陽光と奥の明るさで見事に対照化されている。私はこのラストに胸を打たれた。 [review][投票(1)]