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[コメント] ソーシャル・ネットワーク(2010/米)

ゾディアック』以降自身のスタイルを模索してきたフィンチャーの新たな結実。驚異的なテンポの良さ。冒頭の会話から躍動感があり引き込まれる。
赤い戦車

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

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まず脚本が良い。会話や場面転換のタイミングは非常に的確だし(学長との対面やいきなり「雨だ」とジェシー・アイゼンバーグが言い出す場面は実話だとしても凄い)、台詞自体も面白いものが多かった。アーロン・ソーキンの脚本が各賞総なめにしているのも頷ける出来。ただし、結局は「愛」や「友情」など安易なところに収束せざるを得なかったのが大いに不満。まあ存命中の人物を描いたものなので冒険するわけにもいかなかったんだろう。妥当ともいえる。

本作は一見するとラジオドラマのような台詞の激しい応酬が続き、映像派たるフィンチャーには「らしくない」作風に思われるが、各場面は細部まで丁寧に作りこまれている。特に2つあるジャスティン・ティンバーレイクとの会話(どちらも流れている音楽の重低音が良い)やボートレースの場面での興奮はまさにこの監督ならではのもの。

また、フィンチャーは登場人物に寄り添いもしなければ、突き放したりすることもない。常に一定の距離を淡々と保ち続けている。何だかキューブリックに近い味わいだ。とはいえ、まるで昆虫観察でもしているかのような冷酷さを持つキューブリックとは違い、フィンチャーの視点はまだ人間的な温もりを感じさせる。

音楽ではラストのThe Beatles「Baby You're a Rich Man」が虚無感を醸し出していて味わい深い。

最後に、興味深い点を一つ。エドゥアルドも兄弟も「携帯」を使ってマークに連絡した途端、彼と距離が生じ始める。 ショーンも逮捕されたときに「携帯」でマークに連絡をとっていた。対して、最後まで執着していた元カノのエリカとは直接の会話のみ。これは映画における人間関係を描く上で中々面白い演出だったと思います。

(評価:★4)

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