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[コメント] アンノウン(2011/英=独=仏=米=日)

どの場面、どのカットもできる限り面白くしてやろうという強い意志が感じられる。そしてその試みはほぼ成功しているといっていい。ジャウマ・コレット=セラ、これは将来有望株だ。
赤い戦車

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







・冒頭の雪舞うベルリンの美しさ。

リーアム・ニーソンエイダン・クインが同じ台詞を同じタイミングでゼバスティアン・コッホに伝えるおかしさ。

・一瞬の看護婦殺害ショット。その後の鋏が届くか届かないかのサスペンス(これは後にジャニュアリー・ジョーンズが爆弾を解除しようとする場面と呼応している)。

・ディスコの場面における夢幻性。

ヒッチコックの模倣に留まらない写真展のシークエンス。近年まれに見る、美しいキス。

ブルーノ・ガンツフランク・ランジェラの気高い対峙。質素な内装に一際目立つ赤いカーテンの禍々しさ。

・爆破とモノトーンの格闘。鏡に映った自分の虚像を拳で砕くリーアム・ニーソンニーソンに怯えるダイアン・クルーガーとの切り返し。

脚本段階では宿ることの無い、まさしく全編演出の映画。アクション演出に難があるのを除けば、シーゲルまでは届かなくともフランケンハイマーのレベルには十分到達できる逸材だ。次回作にも期待したい。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ゑぎ[*] まー[*] けにろん[*]

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