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[コメント] 戦火の馬(2011/米)

近年の作品に顕著だったバランスの悪さが薄まり、良い意味で成熟した映画に仕上がっている。
赤い戦車

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







スピルバーグ×カミンスキータッグ最良作の一つになるだろう。フォード黒澤明デヴィッド・リーンなどを引用しつつ、英国の田舎から荒れ果てた戦場まで見事に撮り上げている。

最近のスピルバーグは感情の流れを疎かにし過ぎだと感じていたが、本作は場面毎の情感の操作が実に巧みだ。粉雪舞う再会場面とラストの夕陽の美しさには驚く。個人的にはスピルバーグ21世紀の代表作と言いきってもいい立派さ。

ただ、ドイツ人にもフランス人にも英語を喋らせてるのはどうか。無論演出上の問題なのだろうが、『イングロリアス・バスターズ』がある現在においてはやはり違和感がある。

また、塹壕戦は自身の『プライベート・ライアン』にも劣らぬ迫力だが、毒ガスの描写はもっと徹底すべき。第1次大戦の毒ガス攻撃に関しての描写をもつ映画は、これまでほとんどなかったと思われる。スピルバーグならそれを撮るだけの金も実力もあったはずなので、是非とも作ってほしかった。

しかしここまで馬の扱いに長けた映画を観ると、スピルバーグは何故西部劇を撮らないのかと思ってしまうね。次作「Lincoln」にはそういう意味でも期待している。

(評価:★4)

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