コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] 春婦伝(1965/日)

ほとんどの画面において2種類以上の運動が見られる。主人公が会話する部分とは別に、奥や扉の裏側で全く関係の無い人物の動きが描かれており、それは要するに構図の非中心化を促し、ひいては画面内だけに留まらぬオフスクリーンの「世界」をそこに立ち現させ、映画を豊かにする。
赤い戦車

照明・撮影・美術その他全てが女優を引き立たせるために存在する。清順の映画はどれも多かれ少なかれフェミ的な一面が存在すると思うが、野川由美子主演の3作は特に色濃くそれを感じる。それにしても、あの八路軍アジトの洞窟での照明は凄すぎるではないか。

また、野川由美子が負傷した川地民夫の元へ放火の中を突っ切って走る場面、あそこで泣かないものがいるというのか。あの炸裂する閃光は俺の眼には祝福の花火のように見えたぜ。突然中国語の歌を唄い出すフォード的エモーション。素晴らしい。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (1 人)ゑぎ

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。