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[コメント] ザ・クラッカー 真夜中のアウトロー(1981/米)

処女作にして既にマイケル・マンの「映画作家」としての力量が発揮されている。二言しか台詞のない冒頭10分や犯罪を逐一「行動」で描いていく様はメルヴィルであり、プロフェッショナルな男たちはホークスにも通じる。また、この作家の「窓」はヴェンダースのそれと比べても劣らないぐらい、何かを表象する装置として働いている。この監督には映画史的正統性がある。なんとしても支持せねばならん。
赤い戦車

港での密会を複数の視点から捉えた見事な編集。或いはファミレスで女を口説く際、女の髪にネオンの光が時折当たっていく。飛び降りを伝える電話ボックスの奥で、何やら騒ぎが起こっている様子を捉えた、さりげなくも簡潔な1ショット。赤ん坊の名前を決める場面の幸福。また、「両手」で銃を構える主人公はガンアクションの映画史において特筆すべき存在ではないか。

アクションシーンにおいても、構図が決して中心化せず、運動が周縁へと拡散していく画面の連続である。ドナルド・ソリンの撮影も夜の闇を艶かしく捉えていて良い。傑作。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (1 人)ゑぎ[*]

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