[コメント] 羅生門(1950/日)
鑑賞後の一言 「わかるよ、辛かったんだよね」
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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原作と異なり、杣売りの告白という形で「藪の中」の真実を観客に提示する本作品。冒頭から「わかんねぇ、さっぱりわかんねぇ」と煽りに煽りまくる杣売りと旅法師だが、この二人の「わかんねぇ」中身は少々異なる。旅法師は全くかみ合わない3人の証言を聞き、誰の言葉を信じれば良いのか分からなくなっているのに対し、一部始終を目撃した杣売りは3人が3人とも真実と異なる証言を平然とするのを聞き、人間が信じられなくなっている。
自分の盗みを隠すため偽証した杣売りであったが、まさか後にこのような展開になるとは思ってもみなかったであろう。眼前で繰り広げられる嘘芝居。真実を語りたくても口を開くことができない葛藤。そして自分もまた盗人であり嘘つきであるという事実。結局彼は良心の呵責に耐え切れず、羅生門の下で全てを明らかにしてしまう。
告白を終えた彼の目の前に突如現れた捨て子。自分の罪を償うため、そして人間を信じるため、その子を連れて帰るのはごく自然の成り行きであった。暗黒の時代に灯された一筋の光明。素晴らしい結末だ。星5つ。
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