[コメント] 運命じゃない人(2004/日)
“なるほど”と何回も思わされたし、“よく出来ていて、面白い”というのが全体を見ての感想。ただ、観客を楽しませることに終始したためか、“面白い、巧い”以外にこれといった良さを見いだせなかった。僕にとってこの映画の鑑賞は、構成の巧さを淡々と確認していく作業に近い。
監督にもっと“自分”を見せてほしい。観客を念頭に置いているのがひしひしと伝わってくるが、それ故、観客である己の精神と、製作者の「そうでなければならない」という思いが肉迫する瞬間が皆無であった。つまりは、難が無さ過ぎるのである。ある作品の鑑賞体験として、自分にとってそれまで“外部”であったものを獲得したとは、あまり思えないのだ。
カンヌの事もあって期待していた分、ただの娯楽で終わってしまったのは残念だった。確かに良質な娯楽ではあるのだけど。
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